15年の長きにわたった戦争を終わらせた、救国の英雄リシャールの語りで物語は始まります。
独特なしゃべり口調で、自己評価が限りなく低く、謙遜でなくひたすらただのおっさんとしか思っていない、ちょっと卑屈で、常識的なこともほとんど知らず、自分が生きることに興味を持たない、そんな主人公が語るストーリー展開は正直なところ読みづらくてさほどこの作品におもしろさが感じられなかったのですが、せっかくだからとささっと読み進めていくうちに、どんどんハマっていきました。
構成が本当にすばらしいのです。
リシャールと見習い騎士で公爵令息のウィリアムとの語りが交互に入るのかなと思ったら、一旦エンドまでずっとリシャールで通します。
次にウィリアムかな?と思ったら、騎士団長視点に。
なぜそうか、この2人を客観的に語れる人物が彼だからです。リシャール視点ではなんとなくしかわからない、ウィリアムの性格が細かに明らかになり、一気に話しが深まります。想像通り、いや想像以上の恋愛初心者の若者の執着溺愛ぶりにふふっとなります。
そして笑いの後に涙も。最高に物語が盛り上がってきて、ウィリアム視点になります。
ようやく待ち望んだ恋に落ちたシーンや、その時々の彼の行動基準と心境を知ることができ、沼に落ちました。
様々な伏線が作品中で回収されますが、詳しく記されていないものは、某サイトに全てあります。
そこまで読みにいきましたが、蛇足と感じるものもあり、この一冊はさすがの構成だと思いました。
ただ、国王とウィリアムの弟の話はおもしろかった。でもこれが掲載されないのもわかります。この作品に沼った人にしか需要がないと思われます。でもぜひ注釈つけて番外編出してほしいです。(課金したい!)
そこまで読んでもう一度リシャール視点の最初から読み直しました。読みづらいと思っていた全てのことに意味があったと知りました。15年、戦争の前線で戦ったリシャールの、純粋な人柄、深い広い愛に感動しました。
最後に、こんなに一冊で「金と権力で揉み消す」という文字、見たことないです。これぞ真のスパダリです。ホントにサイコーでした!