彼女がいなければ今のままを望み続けて成立しない二人の話で、それぞれ三人の目線で構成されています。
凪子目線だけでは良くも悪くも、そりゃ少なからず感動するよねネタ的に。と思わなくもないですが、浩平と和也の話の補完で、誰が誰をどのように思っているかが静かな波のように押し寄せ、つい落涙します。
凪子の行動(若しくはネタかな?)が一部読者の批判を呼ぶらしいですが、私が彼女なら同じ願いを口にしたと思います。罪悪感あっても隣に居たい。聖女じゃないし欲あるし。
あの設定でなければ、中盤の決断を和也は選択しないと読み取れるので、舞台装置も安易には感じないです。
愛には恋・親・友と様々な名前があり、どれも比較できない大切な存在だと感じられた作品です。
一点だけ、花は詳しくないので、表紙のような薔薇あるのでしょうか…椿なら露骨すぎな気がしてモヤっと。葉だけか蕾の薔薇くらいで丁度いいのに。