高校時代下校途中の白線ゲームという一人遊びで偶然出会った男二人が、大人へと成長する過程で愛に翻弄される人生を描いたお話。
とにかくこの本は他のBLと一線を画す構成になっています。二人の出会いから死ぬまでを1つのストーリーと捉え、要所要所の印象的な話をスポット的に抜き出し、お互いの想いが近づいたり、現実を突きつけられ離れたりしていく物語を、時間軸と共に追いかけるお話です。一つ一つのお話は深掘りされていませんが、人生という長い指標で見ると、二人の成長と変化していく想いが手に取るように伝わってきます。
お話の内容を見ると、高校生なのに白線ゲームに夢中になるなんて子供っぽいなぁと思ったり、伊東の自己中心的な行動に嫌気がさしたり、偶然すぎる再会シーンにご都合主義的なものを感じたりと色々ありますが、人生を長い目で見るとこういうこともあるかもしれないなと思わせてくれる説得力があります。色々な想いが重なり、色々な偶然が重なって、今この瞬間を生きているんだなと実感させてくれます。そしてそんな二人が最期を迎え、天上でも二人らしく歩んでいく。とても素敵なお話だったと思います。