ネタバレ・感想あり大江戸国芳よしづくしのレビュー

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江戸情緒がスゴイ
ネタバレ
2024年3月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 画力の高さに加えテーマが…大好きしかなかった。浮世絵の中でも武者絵に秀でる国芳は特に好き。ちょうど浮世絵の画集を買ったとこだったのでタイムリーでした。
高名な絵師に師事しながらも不遇な扱いを受ける若き国芳に、ある日スポンサー兼プロデューサー役を買って出る大問屋主人との出会いから機会が巡ります。
二人に関わる人々とのドラマが最高でした。成田屋のスター役者に鼠小僧に、御奉行様まで出てくるゴージャスな顔ぶれ。なのに彼らは自然に役割をこなしてて、全力で泣かせてくる。やるせなさと少し安堵な決着に号泣です。
彼らとの経験を糧に絵師として大成する(と描かれている)国芳ですが、彼自身のキャラクターも大変魅力的でございました。史実でも男気に溢れ情深く茶目っけたっぷりの愛すべき人物だったと、幕間のよもやま話にあります。ぜひ作者様オススメ巻末資料も読んでみたい。
後から気付いたが…この方の本いくつか持ってた。流石の実力、BL畑で揉まれた方の他ジャンル進出は良作間違いないと思う。
一巻ながら良作!何といっても絵が良い!
2024年1月28日
江戸時代の絵師の物語です。
なんといっても絵が凄く上手い!!
内容も良いしラストも
その時代らしい終わり方でセンスの良さが
垣間見られます!1冊に巧くまとめられた
粋な良作でおすすめです!
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熱苦しくない昔の漢気
2023年5月6日
江戸に生きる男たちの熱い物語です。
国芳といえば金魚シリーズの可愛さや狸シリーズの奇抜さ、野菜を擬人化してしまうユーモアセンスが最高で、本作からもその奔放で茶めっけのある人情家、そして描くことに対する情熱と自信を持っているが決して不遜ではない人柄が窺えます。
作中でも垣間見える、猫を愛してやまないところも彼の魅力のひとつ。
ふとしたキッカケでパトロンになる佐吉さんとの出会いと永年続く友情が実話だということに驚き。
絵も丁寧できれいなのに、程よく骨太感があるのも物語に合っていて良いです。
江戸時代の絵師ものがたりー傑作と感じた
2022年10月30日
星数6個超の感覚。まず絵が凄い。江戸時代を感じさせる絵が。隅々まで圧倒された。ストーリーもよい。後半突然なぜにそっちに?という流れがあり戸惑う。しかしそれも、国芳が大浮世絵画家となることへ繋がる。
大江戸と銘打っているのがなるほど、という感じで、江戸の貧乏長屋や、町人の中では富裕層に属する商人の優雅な人的交流など、丁寧に細部までいきいき描写。木造芝居小屋の見物席と楽屋裏は、床のきしみや壁の木目まで感じさせるような筆致だ。世の不合理もまた絡めていて、必殺xx人の前半を思わせる部分もある。市井の暮らしが見事に漫画になっていることに驚嘆するだけでなく、作家の視点が地に足がついているような、言葉遣いも考え方も町民達のバックグラウンドみたいなものが伝わる。読み終える頃、一見脇道に入ったと思えた話が本流を太くしていくような構造だったのだと知るのだ。
どんなものが描けるのか?との問いに対して答える国芳の台詞が光る。「この世のもんも/あの世のもんも/見たことのねえ/もんだってな」
名プロデューサーとの偶然の出逢い、前半の盛り上がりだけでも本作を読んだ価値を実感した。歌舞伎役者のサイドストーリー的エピソードもまた国芳の画業に生きるという巧みな展開。「夢」の話も意味深。
この当代トップスター的存在であったという狂歌作者の記念碑がある神社、足を運んだことはあるのだが、また行こうと思った。
後半はまた別の巡り合わせが描かれて、これまた化政期の有名人が登場し、話を盛り上げる傍らに国芳がいる。この人物は実はそうではなかったとはいうが、世に流布されるイメージをうまくサイドに置いていての入れ子構造、これもまた国芳の生涯に多大な影響を与えた形で巧みに彼の画業に沿わせている。この人物の墓も、ペットの墓地があることもあり、またあらためて行こうと思った。
北斎の展覧会は何度も見に行ったし、ほか若冲展や等伯展などはあるのに、単独に国芳作品として意識的に鑑賞したことが今までなかった。この作品で、国芳という人物に限りなく関心を持ってしまった。
掲載誌は「週刊漫画ゴラク」2016/2,3,10,11月とあるので、日頃全く縁のないもの。その雑誌ってスケベおやじ達の本とばかり思っていた。本作品はHシーン無し。別名義でBL作家らしいがBL要素無し。
シーモア(島)で知って、概要とレビューで購入。感謝。大正解。10/31に2世豊国(国貞)墓のある寺を見た。
時代劇好きな人もそうでない人も読も!
2022年10月7日
時代劇の好きな理由を3つ。

生活が質素なためモラルがシンプルであること。
移動範囲が少ないため人の繋がりが密であること。
寿命が短いためくどくどと説明したりしない、言動がきっぱりしていること。

その上でこの作品は圧倒的娯楽作品。人が人を思う心の強さに打ちのめされ感嘆せずにはいられない。時代劇が好きな人も、そうでない人にも充分に楽しめるからくり仕様です。存分に堪能できると思います。
心が震えました。
2022年1月2日
今までレビューしたことないですが、この作品は絶対書かずにいられませんでした。泣きました。絵の上手さ、話の組み立て、伏線回収も全て素晴らしい。時代劇ファンはもちろん、そうでない人にも是非おすすめします。雲霧もそうですが、吹き出しの台詞まわしも秀逸!江戸時代に引き込まれます。とにかく絵が良いです。男はかっこ良く味があり、女は色っぽい!最近は先生の作品が早く読みたいから仕事を頑張ってました!先生の作品もっともっと読みたいです!本当に素晴らしい!
崗田屋先生の愛に触れた気持ち
2021年12月26日
一仕事終えて、本作を手に取りました。
見る間にお江戸の世界に入り込む。
そして最後は…泣きました。
国芳の絵の力に圧倒され、彼の描く事や仲間に対する想いに胸を熱くし、そして救われた気持ちで読み終えました。

1話目も2話目も泣きました。
泣かされるけど、清々しい。
悲しさだけではない、何とも情に訴える作品。

とあるインタビューで別作について崗田屋先生が「蘊蓄マンガではなく娯楽時代劇。どなたでも気楽に楽しめる内容を目指した」と仰っていました。
本作も本当に先生のそういう気取らない優しさが詰まっていた様に感じます。
思い切り楽しんで、泣かせて頂きました。
先生の登場人物への愛がすごく伝わるし、分かりやすく伝えてくれる先生の愛が嬉しい。

崗田屋先生の作品に出会えて、冗談抜きにそれまでより数段人生が楽しく豊かになりました。
いい意味で力が抜けました。
先生の作品に出てくる人々の様に、何者でもなくとも自分の日々を目一杯使い切って生きようと思います。
★5じゃ足りない。全然足りない
2021年12月25日
この作品…絵の美しさ、物語の面白さ、登場人物の魅力、読後感、全てがすごかった。

まず画力に圧倒される。
すさまじいです。
もともと画力に定評のある作者様ですが、この作品はその中でもものすごいクオリティ。

絵に見とれていたら、一気に物語の中に引きずり込まれる。

この作品の中で、自分の信念を貫いた1人の男が出てきます。
その男の生きざまに胸を突かれる。
私は本を読んで泣くことは滅多にないのですが、この作品は泣きました。
強烈なインパクトのある作品。
とにかく読んでみてほしいです。
時代劇になじみのない人でも読んでみてほしいな。きっと読みやすいと思います。
驚くほど面白く、深く、胸を抉られる物語。超超超超オススメです。
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