音楽を題材とする漫画にとって、一番難しくて重要なのは音の表現力だと個人的に思うのですが、この作品は演奏の表現と熱量の描き方が素晴らしいです。読んでいるこちらも熱が入ってしまいます。演奏シーンでは曲の成り立ちも絡めて描かれているので勉強になりますよ。
でもこの作品はどちらかと言えば、人間ドラマの方により力を入れているような気がします。表情や心の移り変わりとか、人間の苦悩と葛藤を描くのが上手いんですよね。いかにしてそのキャラがその行動に至ったのかなど、キャラクターの心情に入り込みやすいんです。その人間ドラマを音楽に繋げる流れがある意味技だなと感じます。
まあその分、回想が多いのは否めません。主人公以外の回想も割としっかりめにあります。良く言えばキャラひとりひとりにスポットを当ててくれているってことなんですけど。それを諄いと思うか思わないかで好みが分かれそうですね。