「恋愛しない」と決めていたゲイの男が偶然出会った高校生男子を好きになり付き合うが、親の反対もあり一度は別れようとする。それでも遠距離恋愛を経て同棲するようになったのに、彼の為に別れようとするお話。
育と出会った当時高校生だった弘樹。その時はウブで照れ屋でまっすぐな可愛いDKだったのに、同棲し始めてからの弘樹は年下とは思えない程しっかり者。一方、育は全然変わらず、むしろ逞しく成長した弘樹に甘えっぱなし。それでもお互いの気持ちが通じ合っていれば幸せな日々だったはずです。ハピエンの先にも現実の生活は続いていて、いい関係を続ける為にもお互いの成長は必須だなと思わせてくれます。だからこそ、育の一方的な「弘樹のため」が痛々しく、自分勝手に見えました。弘樹は育と一緒にいる為にずっと必死で闘ってきたのに、育が自分と別れようと考えていたなんてショックだと思います。育には弘樹の努力をもっと理解して欲しかったし、好きだと思うなら逃げたり諦めたりせず一緒にいる為の努力をして欲しかったです。
でも、昔と変わらずに罪悪感を持ったり強がってしまう不器用さが育だし、恋愛に対して臆病なところがある意味可愛さなんだと思いました。そしてそんな育を受け止められる包容力のある男に成長した弘樹が本当に素敵です。優しくて一途で一生懸命な弘樹の成長は育への想いが源になっていると思うと二人のすれ違いがすごく切なくて泣けました。
育の女々しさや頼りなさはちょっと残念な部分ですが、それを補えるくらいの弘樹の成長が眩しいです。最終的に、ようやくお互いの気持ちが深いところまで通じ合い、弘樹が背伸びせずに育の隣にいられるようになって本当に良かったと思いました。