以前、読んだことがあり、どうしてももう一度読みたくなって借りました。
恋を「する」のではなくどうしようもなく「落ちていく」二人が丁寧に描かれた作品です。
恭一は今ヶ瀬に「好き」という言葉は使いません。そんな言葉で表すことのできる感情ではないのだと思います。
「恭一さんの片想いなんですね」
この台詞後の恭一の表情が印象的です。この時恭一は、自分も今ヶ瀬と同じようにどうしようもなく恋に落ちていたことに気づかされたのではないかと。
壊れやすくて、傷つきやすくて、後ろ暗くて、この恋にいいことなんてひとつもないんじゃないかって思えてくるけど、でもそれでも惹かれ合う二人がとても愛しく感じました。
どうかこの恋の死を看取る日が訪れることのないように。