強盗犯の悠に閉じ込められた、被害者の山崎。悠の目的は、自分の人生を搾取した893への報復だった。山崎は悠と過ごす内、自分もブラック企業に人生を搾取されていたと気がつく。二人が人気のお店に何時間も並んで、普通のくだらない日常を過ごすシーン。本当なら、こんな当たり前の事ができるはずだったのにと、悠の悲惨な過去との対比で辛くなった。そして車道に落ちそうになった悠を、山崎が歩道に連れ戻すシーン。山崎が悠を、真っ当な道に引きずり戻しているように思えた。悠が山崎に見せる年齢相応の可愛い笑顔。あんな悲惨な過去を癒やしてくれる人に出会えて良かったね。季節(桜)を物語に折り込むのが上手。何度読んでも新しい感動や発見がある。初めての単行本とは思えないくらい素晴らしかった。三上さん達の続きが読みたい。