痛グロ地雷が散りばめられた闇系作品。果たしてこれはBLなのか?青年誌に掲載しても違和感ないだろうな。母親に愛して貰えず義理の父親から凄惨な虐 待を受け傷を負った掃除屋の彗、連帯保証人になり借金の返済のために底の底まで堕とされた柊。暗部に生きる男達の話。柊の背中の傷とDVDパッケージで 察するに余りある暴力と恐怖による支配と搾取。人間、極限の状態になると思考停止になって逃げる事が出来ないって言うものね… ボロボロの柊を 殺された愛猫に重ね合わせて庇護欲が溢れる彗。供依存になるかと思いきや、柊の心が自立心が健全だったのが救い。二十数年間の普通の人としての暮らしの蓄積があった事、バイトで外部との接触が出来て「戻れる」自信が持てた事が彗との違い。どんな辛い環境下でもグレず、暴力の連鎖に走らず、母親を見捨てない彗は優しくて根が強い。本当に生まれた場所が悪かっただけ… 大切なものは枷をつけて側に置いておきたいという歪んだ願望は義父の呪い。暴力による支配の怖さは勿論の事、言葉による支配もまた怖い。猫が殺されたのは弱いお前のせいだと言い、借金まみれの白須に柊を犠牲にしろと囁き、掃除屋という闇の仕事に誘い込む言葉たち。この手の人間は弱い所を突くのが狡いくらいに上手いのだ。最後、距離を置いた2人が再会し彗の涙に魂の救済を見た!と思ったけれど、果たして… なんだかゾワゾワした感じが胸に残ります。 余談ですが、P.99の殺された男は八塚で合ってます?初め 殺った方が八塚かと思ったのですが、顔の古傷と長髪と若い顔立ちと服装・体格の違いに、別人だよな~と思いまして。フランツとタメ口で話していたし。オールバックにチョロ毛が同じで紛らわしいんですよね。フランツとこの男の関係(八塚だったとしても)、彗が1年間どう過ごしてアパートに移ったのか、2人を消す選択肢があった理由を掘り下げて描いて欲しかったです。ちょっと駆け足で終わった感があるので。あと、メンタルをやられた彗を今度は柊が救うのは良いけれど、彗がただの引き籠りにしか見えないので、もっと色々堕ちていた方がメリハリがついたと思いました。