孤独で不幸体質の青年と人の不幸を食べる人外との命を賭けた愛のお話。
「あかしびと」という魂のない器だけの存在の人外が出会ったお人好しのミキ。シロとしての日々はこれまでの人との関係とは違い、優しさと思いやりで満ち溢れています。何も望まない無欲なミキに最初は戸惑いますが、自分からミキに尽くすことで献身的な愛を知っていくシロ。愛し合う人々を眺める生活から、愛を与えることが一番の喜びに変化していく姿は人間らしさへの第一歩だったのだと思いました。
愛が毒になると分かっていても、ミキの幸せな笑顔を側で見る幸せな日々を手放せないシロ。一度は死を覚悟する二人ですが、愛の試練を乗り越え魂が宿った瞬間の表現はとても美しかったです。
献身的に想い合う二人の愛が奇跡を起こしていく過程も、そこに至るまでの悩みも、全てが真っ直ぐで、透明感溢れる清い想いに溢れていて、ただただ優しさが伝わってきました。こんな風に優しく想いあえる幸せな日々がずっと続いて欲しいと思います。
また、「あかしびと」や、「透明な愛のうつわ」というタイトルの表現、言葉の選び方がとてもキレイで、物語の雰囲気にピッタリだと思いました。全身で優しさを感じられる作品です。