初恋の子に似た黒髪・黒い瞳のドラッグストア経営者と景気のいい自動車業界で働く男。パーティーで出会い、体の関係を持つようになった二人が運命に翻弄されるお話。
戦前のアメリカ、好景気とその後に訪れる世界恐慌の時代を生きた男二人の物語です。当時の華やかさと一転した暗さをとても雰囲気良く仕上げていると思いました。身分の格差やその生き方が如実に表れていて、その境遇の違いと運命的に惹かれ合う二人の明暗がはっきりと描かれていて、やるせなくなります。出会っていなければ交わらなかった運命が、再会して動き出す。子供の時の純粋無垢な想いだけでは生きていけない大人のしがらみの中で、もがきながらも幸せになりたいと願う二人の苦しみが伝わってきました。この結末が二人に永遠の幸せをもたらしたとは思えませんが、少しでも長く幸せな時間が続いて欲しいと思いました。