レビュー(いいね数順)を見る限り、非常に評判の悪い夫(伯爵令息スワンガン中佐:25歳→33歳)…確かに、序盤から散々な所業。
①結婚式前日に出征。花嫁(ヒロイン)を置き去り。
②そのまま八年間放置。
③帰還後、初顔合わせで身勝手な初夜。
④一ヶ月以内に妊娠するか否かで、離婚をかけて賭け。(しかも賭けを申し入れた理由は意趣返し)
この夫、根底に根深い男尊女卑が染み付いており、女性の尊厳に対して、思い巡らすという発想が皆無です。しかも、その事に対して微塵も自覚なく、問題として気付くことすら期待できなさそう。
対してヒロイン(子爵令嬢バイレッタ:16歳→24歳)は剣の達人であり、慧眼&博識、美貌、人脈、胆力があり、義父が怠惰で放置した領地経営を代行し、自ら事業を行う経営者でもある…精神的にも経済的にも自立した女性。
そんなヒロインが、なぜか離婚を申し入れている夫の道徳的に問題のある賭けを安易に受け入れ、手荒く扱われて破瓜しているのか?しかも、その行為中、すがるような素振りまで見せています。
んん?どういう事?非難ごうごうなこの成り行きを、あえて肯定的に考えてみますと…ヒロインは自助自立を既に達成した女性。しかも24歳という女盛り。深夜、寝室へやって来た初見の夫は、見目麗しく、たくましい。ヒロインは恋愛事に疎く、自覚が遅れたが、夫は好みのど真ん中。顔と閨事が良ければ、それ以外は期待しないと無意識に瞬時に判断してしまっていた…と考えれば、その後のヒロインの行動の整合性も合うのでは?
あんな男に貴女はもったいない。他にもっといい男がいるよと、端から言われても、いいの、だってタイプなんだものと、その男を選ぶパターンかと。
むしろR18で描いて貰って、色男(夫)の手練手管が分かって、それじゃ仕方なかったよね、ハマっちゃったんだね…と納得させられた方が軋轢なかったのでは。実際、異国の騎士の方が人物的にもずっと素敵と思いますけど、色男(夫)を選ぶのですね。
ヒロインには有力で裕福な叔父が後ろ盾でついており、夫にすがりつかなくてはならない要素はありません。本気で嫌なら断固拒絶出来るのです。それをしないのは、やっぱりお気に入りということでしょう。ヒロインの自覚の程度は別にして。
原作小説は長編。ヒロインが気に入った男を選んで幸せなら、それでよしです。