ネタバレ・感想あり2072のレビュー

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人間を人間たらしめるものとは
2025年1月23日
「2055」から17年後の、アンドロイドと人間の世界を描いたSFファンタジー続編です。
2055と同じ世界線の17年後、人間はオリジンと呼ばれ、ニューオーダーAIと共存するようになる。2055年よりも高度になったアンドロイドに管理された平和を生きるサガミとスバル。オールドAIのアオイのコアも加わり、人間らしさについて深く考えさせられる作品になりました。
人間のために生まれたAIがアンドロイドとして高度になった世界で、人間らしい感情が分からないスバル。人間らしさとは一体何なのか。秩序を保つ為に、人間としての様々な感情を殺し生きていくことは本当に幸せなのか?見せかけの平和な世界がとても嘘くさく見えました。対照的に過去のオリジンのスバルは、とても活き活きとした表情をしていて、生きていると実感しました。危険因子だとしても、きっととても人間らしい感情を持った人だったと思います。人としては完璧ではないかもしれない。でも、だからこそ人間らしいのかなと感じました。
アンドロイドらしさと人間らしさが一目で分かるほど、ちゃんと絵で表現されているのも本当に見事でした。表情一つでその人らしさを表す三月先生の画力に感動です。
最高
2024年10月23日
2055も良かったけどこちらもSFとして素晴らしいです。ページ数もボリュームがあって読み応えあり。ネタバレなしで読んで欲しいです。
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密度の高い素晴らしい中編
2024年8月18日
三月えみ先生は言葉にできない感情を描いたり、描いていないものまで読み取らせたりなさるのが本当に上手い短編の名手だと思っていて、「2055」もさすがの名作短編だと考えていました。しかし「2072」!ちゅ、中編も素晴らしいのですね…。短編では描ききれない作り込まれた設定の中、短編と同じ密度でお話が語られるのがすごい!複雑な感情を乗せたサガミの表情の一つ一つに胸がぎゅっとし、対照的にあまり表情を変えないスルガに涙がこぼれます。もう何が正しいのかわからないけどどうしようもなく恋しい人がいる人の愛の物語でした。
はぁ。言葉が見つからない…
ネタバレ
2024年8月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「2055」の17年後の物語。世界線は同じなので前作から読むと付箋が繋がるかなと思います。(ネタバレしています。)

前作よりさらにディストピアな世界になってる…😩と感じた冒頭、あのヤナギとアオイは希望じゃなかったの??と叫びました(弥凪と葵の旧アンドロイドがヤナギ、アオイ)
人の負の感情はノイズだと…最新のAI(アンドロイド)が人間をカウンセリングし、幸福感に満ちた戦争や犯罪のない、平和な世界で暮らしている人間たち。そんな世界でも反発する人は存在して、本来の人間らしさとは?と海上から訴えている。

物語は身体は人間で頭部はAIによって復元された電脳を持つスルガと、両手だけ機械化されたサガミの物語。元のスルガはサガミと愛し合っていたんだけど、その記憶はレジスタンスの危険性からノイズとして消去されていて、電脳スルガを最新AI IZは常に観察研究している。恋する気持ちをアオイから知ろうとしても、弥凪を想う感情をスルガとは共有できないとアオイ。ヤナギの記憶データが見つかりまた2人の人生が送れるとアオイに言っても、弥凪と葵の遺骨を手に、アオイは自身を消去して欲しいと言う。
共有の拒否や○を願うアオイの感情は、電脳のスルガからしたらノイズでしかないのに、彼は消去された感情、サガミとまた愛し合おうとします。

なのにサガミは情事中泣いていて。何故かゾッと怖さをそこから感じ…。それは運転中ラジオから、自○したくなったらカウンセリングを受け薬を飲みましょうというcmを耳にした時のゾワッとした感というか。人と動物の違いは、人生の終わりを自分で決められると人は知っている、それほど人は不完全なものと。電脳化される以前のスルガを求めるサガミの割り切れない想いは哀しく(美しいのですが…)あの、何もかも諦めた様に感じた彼の表情は刺さりました😩

エピローグ。スルガのオリジナルの記憶を消去するサガミに涙でした。記憶の中のスルガは今のスルガにはない、喜怒哀楽がありました。何より皮肉なのが、前作の旧アンドロイド アオイの方が進化したアンドロイドスルガよりも人間らしいのが辛かったです。人の負の感情をノイズという物語に全体主義を感じ、唯一の希望はサガミに抱きしめられた時スルガが言った記憶の話でした。

真っ黒なベタ描写や箱の様な建物も良いなと。好きな作品です。
SF
2024年7月21日
「2055」から17年後の未来。これ単体でも楽しめますが、「2055」をよんでからの方が、より楽しめます。SF好きにはたまりません。BLである必要性はないです。是非ネタバレなしで。
『2055』から17年のトキを経て……
ネタバレ
2024年7月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ この時代の人間は『オリジン』と呼ばれ保護対象となり、かつて人間が作ったAIは『オールドAI』と呼ばれ回収 破棄対象となった。
現在はAIが作った『ニューオーダーAI』にこの世のすべてを管理されている。

そんななか1年前の大規模な爆発事故から今作の物語は始まっていたのですね。
そして今作の2人と前作を繋ぐ素敵なストーリーでした(泣)メッチャナイタ
『2055』が100ptとお安いので、未読の方はそちらを読んでからのほうが より一層楽しめると思います◎
その上で是非ネタバレ無しで読んでほしいです<(_ _*)> ワタシガイウナッテノ!
SF好きさんも そうでないかたも いかがですか~?
(総90ページ)
よい読後感を味わえました
2024年6月10日
作者さん買い。切なくて美しくて、心がキュッとなるお話でした。BL作品としてだけでなく、SF作品として読んでも面白いと思います。
作家さん買い
2024年4月30日
作家さん買いです。絵が美しいです。AIに愛する人の記憶を載せて、蘇らせようとするのは切ないです。美しいストーリーでした。
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2055からの話
2024年4月30日
もう一度2055から読み返してきました…
続編?なんで読んだほうがいいです
なんか切ないですね。生命も記憶も有限がいいかな…
全90頁の深い深い物語に号泣
2024年4月29日
2055と繋がる、その17年後の物語。前作でも感じていた「それは愛なのか、エゴなのかを一生かけて問い続ける物語」と言いましょうか。

これは、ネタバレなしで読んで欲しい。

AIが人間を支える未来社会が舞台で、視点を切り替えたときに、まったく違う光景が見えてくる作風はさすがストーリーテラー。
既にAIは部分的に人間の能力を超えているけれども、理屈を超越して起こる衝動や情動から生まれる世界は、AIには紡ぎだせない。そこに人間の優位性があると考える身としては、最後には、全体主義と個人主義という言葉が浮かび、目の前にいるヒトを通じてそこにいない人を見る気持ちを想像して胸がヒリつき、涙が止まらなかった。はぁぁ、今回も深い…彼はそんな気持ちを一生抱えて生きていくのだろう。が、その末は…?いつかこの先も描いてほしい。三月先生、いつまでもお待ちします…拝
2055を読んでから
2024年4月29日
読んでください。2055を読んだ時もその切なさや悲しさ、愛しさに心を抉られるような痛みを覚えましたが、そこから17年後、さらに進化したAIと共にオリジン(人間)は生きている。進化を続け記憶と感情を管理し脅威となるものはデリートして世界を守るAIと、相変わらず記憶と感情を大切に(≒最優先に)したい人間の対比の悲哀が淡々と描かれる。ジャンルはBLだがSF色が強く、しかし描かれているのは紛れもなく人間、人を愛する心そのもの。今回も素晴らしい作品をありがとうございました。
何を以て人の同一性を判断するのか
ネタバレ
2024年4月29日
このレビューはネタバレを含みます▼ 機械によって管理された未来。
記憶を失い、感情や思想すら変わった人は過去のその人と同一と言えるのか。
BLだからこそ、この方の作風だからこそ、嫌味なく読めるんだと思います。
胸打たれるストーリー
2024年4月29日
短編の続編とのことですが、知らずにこちらだけ読みました。愛とは…人間とは…。とても考えさせられる美しいお話でした。
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単話シリーズだけどコレだけでも読めます
ネタバレ
2024年4月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ シリーズとは思っておらず(シリーズも単話で今回は前作より20年後くらいの話とのこと)読みましたが、ここまでのお話をよくまとめておられ、最後まで余すことなく読ませていただきました。
単話でも確実に見えます。作中に出てくるオールドAIのアオイ。このアオイの存在が、今回の主人公であるオリジン(人間)のスルガ、サガミの関係性に苦しいくらいに彩りを与えるんですが…
これはハッピーエンドかと言われるとハッピーエンド。が、捉え方によってはハッピーエンドではないのかもしれません。あとBLか?と言われると、もうそんなジャンルは飛び越えて人間同士のドラマじゃないかと思うんですよ。

2072年、世界には人間(オリジン)と、人間(オリジン)が作り出したAIロボット(オールドAI)、そしてAIが保護対象である人間(オリジン)の幸せの為に作り出したAI(ニューオーダーAI)の3種類が存在しているが、現在主流であるニューオーダーAIはオールドAIを「廃棄対象」として回収を急いでいる。オールドAIは人間が、人間の意識データを搭載して作り出したAIである為、どうしても所有者である人間よりも長く残る。人間の意識が搭載され孤独となったオールドAIは彷徨い続けるため、ニューオーダーAIは彼らを「人間と同等とみなし回収・廃棄」対象とした。無論、人間の中には今や人間を保護、管理する側となったニューオーダーAIに対して反抗的に捉える者もいるため、そういったオリジンはレジスタンスとして識別しニューオーダーAIが管理強化対象としてほぼ平和的に解決をする。
危険思想は「ノイズ」であり、ニューオーダーAIが無くては生きることができないオリジンは常日頃からニューオーダーAIと共に平和に暮らしているのだった。

もうね、全部見終わってからニューオーダーAIを見ると辛すぎるんですよ。まるでニューオーダーAIが研究者で、オリジンこと人間がロボットみたいなんですわ。だからこそ、スルガやサガミの人間味が共感しちゃうんですよ。だからね、サガミの最後のコマ。たくさんの感情が詰め込まれた表情だな、と。辛く悲しくどうして、という気持ちと、でもどうしても芽生えてしまうこれからも一緒に生きられる喜び。
唸るしか無いよ、もう。
読み切ったあと、天を仰ぎました。
本当にこの作品が見れて幸せです。ありがとうございました。
泣ける…
ネタバレ
2024年4月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前作2055の続きかな?と思ったので復習してから読みました。前回は短い中にズシンと心に響くSFストーリーでしたが、今回はかなりのボリュームを使ってさらに心に訴えかけてくる、メッセージ性の強い内容でした。
スルガとサガミ(なぜ静岡?)の関係性の切なさはもちろんのこと、2055に出てきたアオイの存在がお話に奥行きを与えています。
何をもって人を人と定義するのか?読み終わった後ずっと考えてしまっています。
記憶なのか、肉体なのか、心なのか、脳なのか。単純に推し量ることのできない、定義づけできない人間という生き物の複雑性を、斬新な切り口で描いてくださる三月先生の手腕にさすがとしか言いようがありません。
色々と考えさせられる内容ではありますが、サガミとスルガが選び取り、そして繋がることを決めた選択にはほろりとあたたかい涙がこぼれます。
時間のある時にぜひゆっくり読んでいただきたい作品。
このシリーズがさらに続くことを期待しています!
深い話です・・・
2024年4月27日
BLというよりSF的要素が強いストーリーと思われます。
AIと人間(オリジン)の違いについて考えさせられる作品でした。
この系統の作品やリアルでも「なぜAIを生み出すのか」という問いかけがされていますが、つまるところ、きっと人間は弱くて寂しくて、自分の思いを受け止めてくれる完全体の何かを求めてしまうのでしょう。
でも、そもそもオリジンは自分の生身の五感で物理的に得た経験(情報)をもとに個として確立されていくものであり、オールドAIのアオイがそれにこだわったことは、ある意味AIとして本来の目的に純粋に忠実な存在になったのでは、と思いました。
なんかグダグダ言い連ねてしまいましたが、BL的には、どこまで愛する人を求めてしまうのか、という思いについてえぐってくる、切ないストーリーでした。
涙が止まらない
ネタバレ
2024年4月27日
このレビューはネタバレを含みます▼ 前作2055とお話がつながっています。2055は短いショートストーリーながら愛と切なさが詰まったお話ですが、それをさらに世界観を深堀りした、しっかり濃厚なSFBLでした。読み切りですが90ページもあって読み応えがあります。
人類はどんどん少なくなりそれに変わってアンドロイドが普及し、戦争の無い人間が安心して幸せになれる世界。戦争が起きないということは、人間が待つ様々な感情を無くしていくということ。その中で人間やアンドロイドが愛や感情を持って生きている世界が、三月先生によって切なく描かれています。
寝る前に読んでしまい、泣き腫らしてしまいました。2055も読み返し、アオイとヤナギのことを想ってまた泣きました。
普段ハピエンばかり読んでいるので、久しぶりに三月先生の切ないお話を読んで、今ボロ泣きしています。
続編
ネタバレ
2025年1月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「2055」の続編なのでそちらを読んでからがおすすめ。単体で読めない事もないけど前作から読んだ方がわかりやすいし、よりストーリーを楽しめる。今回もハッピーエンドではないので明るい甘々ハピエン好きは注意⚠全P90。
AIが管理する快適な世界と人間に寄り添った設定がどことなく不気味に感じた。完璧なのに何か欠損しているような…でもオールドのアオイはAIではあるものの前作より感情などより人間らしい心を感じた。
本作メインキャラクターのスルガとサガミの関係は後半に進むにつれ明かされるが、サガミのお前が「スルガ」だから好きと言うセリフが切ない。
繰り返し読みたくなる作品。
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人間とは、愛とはを描く中編SF
2024年12月18日
「2055」の17年後の世界。
戦争も貧困も無い平和で一見完璧な未来。
しかし、愛も涙の意味も空虚で寒々しい未来。
こんな未来あるはずがないと言い切れない事が空恐ろしい。
「記録」と「記憶」は僅かな相違があるのではないか。
情事の涙があまりにも美しく哀しかった。
(24.12.18)
2055の続編
2024年4月28日
三月ワールド炸裂です。三月先生はBL作家というよりは、人間の感情の深い部分を揺さぶられる作品を作る事ができる、貴重な存在だと毎回思います。じわっときます。今回は説明が多く、ストーリーが説明に押されてしまう感があったので、(コナンのコミックみたいに字が多かった)ちょっぴり疲れてしまいましたが、良い作品であることには変わりありません。
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