クラスメートの女子の人には言えないがんばりに触れ、少年は淡い恋心を抱く。そして少女のより重大な秘密を知ってしまった少年は、ひと夏を彼女を守るためにささげる。
子供に背負わせるには重すぎる現実、子供の責められない愚かさ、無力さを自覚しながらも全力を尽くそうとする尊さ、少女の秘めた憧れなど、切なくて、彼らに幸あれと願わずにいられない。
少年が大人になり、プロサッカー選手になって迎えに行くという、幸福な未来を想像した。今はそういうの流行らないのかもしれないけど。
ネグレクト家庭における長子の孤独な闘いという新しい素材を扱ってはいるが、話の構造としては、恵まれない境遇にある心のきれいな娘が白馬の王子様に救われるという古い定型に依ったもの。オリジナリティは高くないが、台詞回しや表情など、細かい演出がうまく、物語としては完成度が高い。
また、王子が子供であるがゆえに、救済がいったんは挫折に終わるというのも、物語に現実への着地点を与え、お伽話の単なる焼き直しに終わらせずにすんでいる。そして王子は急速に青年へと成長しつつあることが語られ、娘も夢告により王子の成功を予言する巫女的役割を担うことにより、物語は完全な救済の果たされる明るい未来へと開かれて終わり、爽やかな後味となっている。