こんな心揺さぶられる名作には、滅多に出会えません。2人思い合っていたのに、想いを表現できないうちに、すれ違ってしまう。立花は彼のために彼を諦めようとし、麻倉は死に物狂いで彼を探し続ける。再会を遂げた場面の麻倉が、切なくて苦しくて、胸が痛くなりました。初めて結ばれたあとの麻倉のセリフが、心に刺さります。「僕は僕の意志で生きたんだと、死に際にいい人生だったと笑いたい……」私も人の顔色ばかり見て生きてきたから、今さらだけど、そんな人生を送りたいと、切に願ってしまいました。本当に欲しいものを求め続けたのは麻倉の方だったんですね。玉響という表題の由来、全編を通して意味を持ち続けるビー玉。とても美しい……心に響きます。