はだしの天使
」のレビュー

はだしの天使

野ノ宮いと

純粋無垢で可愛い元天使

ネタバレ
2021年6月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 初めての作家さん。沁みるBL特集で綺麗な表紙絵に惹かれて購入しました。
終始緩やかに穏やかに流れる空気感が心地よく、大きな波はなくとも一つの世界がそこにある、と感じる世界観が好きだなーと思えるロマンチックな作品でした。

掟を破り天界を追放されてしまった元天使・ベニー。
寒空の下、裸足で一人公園のベンチに座っている所を靴職人・ターナーが見つけ、ベニーの靴を作ってあげる間、2人は同居することになります。

不思議と悲壮感はなく、知らない事が多すぎる子供のように無垢なベニー。
ベニーがターナーと共に生活するうちに人間らしい表情や感情が芽生えて、ベニーなりに一生懸命ターナーの事を理解しようとする様子がとても可愛い!そんなベニーの世話を焼きながら、ゆっくりとベニーに惹かれていることを認識していくターナー。恩返しをしたいと言うベニーに対し、包み隠さず正直な望みを伝えるターナーが印象的ですごく好きでした。自分に湧き上がる感情の意味が分からず頬を赤らめるベニーも同じく。

空を羽ばたく羽は失ってしまったけれど、自分の脚で大地を踏みしめる事ができる靴をもらったベニー。
前を向き先へ進む2人の、愛しい気持ちが溢れ出す幸せなラストを眺めながら「ただいま」「おかえり」と言いたい相手がいるという事は、人を強くするのかもしれないなと思いました。
描き下ろしで気になった所まで描いて下さった作者様に感謝。
そうでないと、私はベニーが心配すぎました笑
エチは本編でページをとって描かれていて2人らしい慈しむような肌の重ね方で可愛いベニーが見られます。
ゆっくり優しい気持ちになりたい時に読みたいお話です。
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