嫌い、大嫌い、愛してる。
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嫌い、大嫌い、愛してる。

ARUKU

振り切ってます

ネタバレ
2022年2月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 以前読んだ時は魂持ってかれて「なんてものを読んでしまったんだ‥」と思いましたが、後味引いて魅入ってある種の中毒性もある作品でした。
お話は反社会的な性格と思しき凍月とずっと自己犠牲で生きてきた奏の愛憎物語。ストーリーもさることながら、心情の変遷が詳らかにされていく過程が凄まじく緊迫感漂う怒涛の展開に一気読み。
この2人、あまりに対極すぎて本来なら交わらない人種なんだけど関わってしまったことでこれほどまで狂おしい展開になるとは思いもしませんでした。そして、ようやく2人の気持ちが寄り添うかと思いきや想像以上の展開が待ち受けていて‥。先生、容赦がないって‥。
そして、私はどうしても凍月を嫌いになれないんです。凍月が奏を介護する姿に凍月の後悔と懺悔と愛と救いを感じてしまうから。蹂躙する場面はよくあれど、その後の介護する様子まできちんと描かれたのは見たことがない。その姿から凍月の改悛が直球で伝わってきて泣きそうになりました。
最後はあまりに穏やかすぎてまるで天国にいるかのよう。夢か現か‥、読者に2人のその後を想像させるラストはさすがだなと思いました。
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