鬼は笑うか
」のレビュー

鬼は笑うか

木村ヒデサト

鬼が、笑った。

ネタバレ
2022年4月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 途中までふたなりなのか?と勘違いして読んでたので、真相を知った時には痛くて心が引き千切られそうでした。
まだ大人の庇護が必要な子どもの居場所がない。
それだけでも辛くて、なのに災いはそういう子に降りかかる。
このお話は最初(14歳)が一番辛いです。
柏瀬が朗読している羅生門の一節が、現状打破できずウロウロしかできない彼そのままのようです。
助けを求めるべきなのに、自分じゃできない。
なぜ言えないのか?言えばこの辛さが終わるかもしれないのに。
星谷の、まだぼんやりとした不安定な、しかし強い思いを以って柏瀬の辛い時代はやっと収束を迎えます。
ここで物語を閉じても良かったと思います。
………
けれど3年後、17歳。
新たな局面で鬼が笑うような話をせずにいられない不安が、ずっと悲しく響いてきます。
2人で世界を変えたかった。
私が神ならすぐにオメガバの世界に転生させたげたい!って考えてしまいました。
一緒に居る理由なんて、一緒にいたいから、だけでいいじゃないか!
さめざめと、2人と共に泣ける17歳の切なさです。
元カノのロジカルなアドバイスが光っていました。
………
描き下ろしの3年後、鬼大爆笑で良い意味で涙出ました。
14歳の痛さ、17歳の切なさを乗り越え、読後感がとても良いです。
夜明けの腐女子さまにうってつけの作品だと思います
………
マリアボーイを読んだ時にも感じたのですが、作者さまの描く虐 待はめちゃくちゃ痛いと感じてしまいます。
現世界と地続きのような、リアルにあったニュースを読んだ時のような、可能であれば目を背けたい誘惑に駆られます。
すごい表現力です。
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