緑土なす
」のレビュー

緑土なす

みやしろちうこ/user

物語も文章も☆5なのだが…

ネタバレ
2022年12月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作者さんは相当ユーモアのセンスがあると思います。抑制の効いた表現で、じわじわと面白いことがずっと書いてあり、何度もニヤッとしたり声出して笑ったりしました。足弱と今世王の出会いもハラハラと読ませるし、詳細に綴られる王族の暮らしも興味深く飽きさせない。灰色狼の存在も味わい深い。今世王の孤独や責任など、感動もある。

ただ、1巻2巻で描かれる攻めのエチが獰猛過ぎて、読んでてだんだんしんどくなってしまいました。今世王が盛りだすと「うわぁ…きた…」と胃が重くなる自分がいて。
現在3巻まで読みましたが、1巻に相当酷い行為、そして2巻にも、強引で可哀想なエチシーンがあります。
BLによく出てくる、心の通わないエチや強◯などは、私はストーリー上その段階が必要なのだなと、フィクションとして読みますし、特に地雷でもありませんので、1巻は「来たな」と覚悟を持って読んだので大丈夫だったのですが、2巻がどうにも受け入れ難く。
足弱は譲歩してたのに、それでも聞き入れず押し切るのか…と今世王への失望。兄付き侍従もそこ止めないのか…と灰色狼への失望。ストーリー上必要だったのかもしれませんが、足弱の心を破壊しかねない行為であったと思うので、とても哀しかったです。
元々、寵愛の言葉を盾に足弱の人権はあまり尊重されていないなと思いながら読んでいたので、2巻のここが決定打となり、それ以降、いくら溺愛シーンを読んでも、心の片隅が冷えたまま回復されませんでした。3巻はほのぼのしていてまだ平和に読めたので、時間を置いてそのうち4巻も読んでみたいと思います。

受けの足弱は穏やかで思慮深くて、可愛らしい人で大好きです。育った山に帰りたがってる様子は、騙されてフランクフルトに連れて来られたアルプスの少女ハイジのようでした。
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