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ナツメカズキ

不朽の名作BL 2022受賞作

ネタバレ
2022年12月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 不朽の名作BL2022にランクインした作品。2022年を終える前に読まなくては!と思い購入しました。

なるほど!「不朽の名作」の称号に相応しい作品でしたね!犬としての生き方しかしてこなかったシロが、初めて人間として大切にしてくれる人と出会い、普通に生きていく未来を思い描いていた中で直面する大切な人の死。自分は犬しかなれないと決めつけ、信虎に惹かれながらも、失うことの怖さで自分を追い詰めていく様が痛くて苦しいです。モブとの行為もたくさんあります。もしかしたら地雷の人もいるかもしれません。私自身、受は目一杯愛されてほしい、甘やかされてほしいと思っているタイプなので、可哀想な目に遭っているのが辛かったです。そしてメインカプ以外の行為を見るのも目を塞ぎたくなる。でもそこを濁すことなく、時に生々しく、時に痛々しく、シロの内面共に丸裸しているところから、ナツメカズキ先生の「描く」という強い思いが伝わってきて、圧巻でした。切なくて、苦しくて、もうやめて…と思いながらも、ページを捲る手が止まらない。シロの全てを受け止めたい!シロが幸せになるまで見届けたい!と、シロの幸せを願って涙しながら読みました。

シロの相手が信虎で本当に良かった。めちゃくちゃいい男ですよ!シロの本質に触れて何が何でも追いかけ守ってくれる人。モブらと真逆な言動をとる信虎がヒーローすぎて惚れました笑。
恋人になった2人のその後も描かれており、シロが人として、恋人として大切にされていることにまた涙…。今までの辛い過去があって、幸せな現在、未来へと繋がっていくのがわかり、感無量でした。

いつも思うのですが、ナツメカズキ先生の作品って、すごくドラマティックなんですよね!漫画ではあるのですが、映像のようなつくりになっていて、先生の頭の中で登場人物達が動き、背景や風景が次々と移り変わり、音楽が流れているんだろうなと。まるで1本の映画のように。それが読者にも伝わってくるからこちらも映画を観たような気持ちにさせてくれる。ここまで自然に、且つ躍動感のあるストーリーに仕上げられる漫画家さんは数少ないと思います。

「不朽の名作」の代表作として、ずっと人々に愛されていくことでしょう。素晴らしい作品にスタンディングオベーションです。
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