愛ってやつを教えてくれよ【単行本版】
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愛ってやつを教えてくれよ【単行本版】

塩味ちる

個性豊かな新星現る!

ネタバレ
2023年10月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ ノンケ x ゲイ。クズ x 真面目。愛を知らないヒモ x 愛を失ったリーマン。身体から始まり段々と愛を知っていく男と、いつの間にか失恋の傷を癒やされ新しい愛に気づく男。
BLでは良くある展開かもですが、すっごく好きですこーいうの!いろんな作家さまで読んでいますが、作家さまによって施される色味が違っていて何作読んでも飽きません。
こちらの作品も作家さまの個性を強く感じ、独特の空気感が伝わってきました。数多の作品が毎日世に出ていますが、作家さまの個性溢れる作品に出会えた時は至福です。

***
まず表紙。モノクロで描かれている上下、タバコ、涙。表紙だけでドラマを感じワクワクしました。
次に口絵。美人の傷と鼻血。ワクワクにゾクゾクが加算されました。
ゴクリと唾を飲み込んで導かれた本編冒頭は、黒くて暗くて無音…からの5ページ目でドッキリ!!
巧い!!すっごく惹きつけられました!!
それから続くお話は冒頭での期待を裏切らず、イヤある意味裏切られたのか?不穏ではなく、感じの良い真面目くんと人たらしのクズ男との、味のあるやり取りが繰り広げられます。本人たちは至ってシリアスなのですが、ちょっとした会話や行動が胸キュンだったり胸ズン(?笑)だったり。
また周りの人たちがクスッとさせてくれています。
そのどれもこれも、作者さまの個性が光っています。

正直なところ絵や表現に滑らかさが無いかな?と感じるところもありますが、そのゲツゴツした部分でさえ味に変わってしまうセンスを感じました。
期待に沿った展開を、少々斜め上気味に表現されているのがすごく面白いと思いました。

そしてそして、フォローさまも仰っている通り、上下の解釈が完全に一致で喜びの舞ですよ!!(同志よ!!)
寝屋の中以外での受けさま(敢えて“さま”付けで!)の包容力ときたら…!うっとりなスパダリなのです。なのに下になった時には純情赤面エロティック仮面かよっ!!(泣)
攻めくんは(ここは絶対“くん”を譲れません)クズなくせに純真で。てか受けさまの純粋をまんま映す鏡のような?受けさま色に染まれる真っ白さだったのかも?
とにかくこのふたり、めっちゃイイです!好きです!

本作が商用一作目だそうで、今後のご活躍に期待が膨らみます。
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