息できないのは君のせい
」のレビュー

息できないのは君のせい

澄谷ゼニコ

同人誌読んでから本編読むと味わい深い

ネタバレ
2023年12月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1巻でセフ レの2人なのに肝心のシーンが出てこないことにモヤモヤしてお蔵入りにしていた。
でも、あのスーパーにピンクな同人誌(エロに全振り!)を読んで俄然読む気が湧いて2巻以降通しで読んだら、BLではクライマックスになりがちなエチシーンがないために志筑と矢野と、彼らをとりまく登場人物たちの人生ドラマが、音楽という軸を中心として豊かに描かれているのがストレートに伝わってくることを実感した。

矢野は、裕福な家で生まれ、父親との間に確執が。志筑は、演奏すると性的に興奮してしまうという厄介な体質を抱えながら、アマチュアの吹奏楽団を辞めてプロのジャズサックス演奏家になることを先輩三好から誘われてている。
それでも全くブレずに、快楽主義者と称しつつ、どう生きるのが一番自分らしいかを悟り、誘いを押し返す志筑が、男前でホントにカッコいい。むしろ、社会的には成功者である三好が志筑に惹かれてしまうのも分かるほど。し、しかも受け!男前受け好きとしては堪りません!!
同時に、自分自身の人生も、他人の目から見た成功ではなく、自分が生きる上で大切なことを軸にして考えるのが大切なのでは?と考える。

身体の関係から始まった2人が、人との関わりの中で唯一無二の存在に変化し、真摯にお互いを理解し、尊重する姿に満たされる。エチシーンを見てきたお陰で、2人が他人に理解しがたい性癖を受け入れ、身体の相性も抜群に良いことを知って読むとすんなり理解できるのだ。周りの価値観も2人の関係に概ね理解があり、価値観もアップデートされていて、重くなり過ぎない。


3巻には、出会いから1巻冒頭までの間を描いた過去編が、4巻には矢野の女装姿を拝める描き下ろしがあって大爆笑。2巻までしか読んでなかったら、是非4巻まで読んで欲しい楽しさです(*´꒳`*)

一説によると、男性にとって音楽の演奏は性欲を含む欲を昇華させる恍惚感溢れる行為だそうで、演奏後は性欲が収まるのだとか。なので志筑と矢野は性欲お化けなのかな…と思いながら読むと、そこかしこにチラ見えするエロさに「息できないのは『君ら』のせいだろ」…と息も絶えだえに萌え禿げるほかなくなります…
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