親愛なるジーンへ
」のレビュー

親愛なるジーンへ

吾妻香夜

素晴らしい作品に出会えた事に感謝。

ネタバレ
2024年1月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 2周読了後の今、茫然としています。
思いが溢れ過ぎて何から記せばいいのか分からず、取り敢えず私の心に一番響いたところを……と思い返せばそれも沢山あり過ぎて、やはり言葉が出てこない。涙と鼻水は延々と出てくるのに。
素晴らしい作品を読んだ後何も言葉を紡げずに、レビューを後回しにする事が度々あるのですが、この作品に関しては、これほど茫然とし言葉をなくしても、「今書き留めたい」と思ってレビューしています。

「何者かになりたい」「自分には特別な才能や未来がある」と信じて、家族を、故郷を捨てたジーン。それを後悔して立ち尽くしていたジーン。
時代や国、文化は違えど、全ての若者が理解できる感情なのではないでしょうか。ジーンはそれを「自分を賢いと思い込んだ愚かなひねくれ者」で、まわりの友人達を「それを知っていた大人だった」と表現していますが、かつて若者だった(今はオバさんである)私から言わせれば、ジーンは「好奇心旺盛で、未知の世界に飛び込む勇気のあった若者」で、それが出来ずに後悔していたかつての私は「自分の限界を自分で決めつけて、初めから諦めることを選んだ臆病者」なのです。
ひとは生きていく中で、様々な岐路に立ち、様々な選択をしていくことでしょう。その度に後悔したり、自分を納得させたりしながら生きていくのでしょう。
トレヴァーの言う「ただ、かつて一人の若者だった。そこに何の罪や罰があるものか」というセリフは、正に真理であり、ジーンを、若者を、かつての私を赦し、救うものだったと思います。

15年以上もの長い完全な別れを経て、再び出会った2人。ここから先の2人のことは想像する事しかできませんが、赦し赦され、救い救われた2人が幸せに添い遂げられる未来であることを願い、祈っています。

…ちなみに…涙が止まらない理由がもう一つ。特装版がある事を知らずにこちらの2巻を購入しました_| ̄|○
特装版を買い直すか真剣に悩み中…。これから購入される皆さま、お気をつけ下さい。
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