雨傘で凌げないほどの恋
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雨傘で凌げないほどの恋

ARUKU

言葉の力を。

ネタバレ
2024年2月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 頭の中をのぞいてみたい、毎日どのようなものをみて読んで生活していれば、触ったら壊れそうな繊細で煌めく言葉を紡げるようになるのかと知りたくてたまらない、尊敬するBL作家さんの新刊。ARUKU先生の作品は全て唄うような詩を誦じるような抑揚あるセリフとモノローグで、ひとことも読み飛ばせず、一枚一枚ページと物語を登場人物と共に噛みしめて読んでいるので、単行本一巻完結でもものすごい満足、充実感を得られます。

あり得ないような設定でファンタジーめいていても、ARUKU先生はいつもリアルの時事問題を絡めて描かれてます。
少し前には大学のアウティングがきっかけでひとが亡くなったという悲劇がリアルのニュースでもありましたよね。ネットで溢れる匿名の言葉でひともころすことができる現代だからこそ、言葉の力を作者さんは描きたかったのではないかと。
口から出た言葉の剣はもう取り返しがつかなくて、刺されたひとのこころを一生傷つけるという暴力にもなるし、その一方で、誰かに届けと投げかけてひとを救う、言葉だからできることもある。いつも読者に作品を通して話しかけてくれてる気がします。
あのことを「ちいさなひみつのせつない何か」って書けてしまう先生のこと、一生追い続けたいですし、健康でずっと描いてくださってほしい、まだ埋もれて陽の光をみない語られてない物語をこれからもたくさん掘り出して磨いて読者に見せてくださってほしいです。

ちなみに、去年くらいにXを始められたようで、先生の実存が確認できました。今までほんとうに存在していらっしゃるのかわからないほど完全に別格の神様位置だったので。。
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