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ながべ

獣人物だからこそ引き立つフェチとギャップ

ネタバレ
2024年4月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 日頃、あまり獣人物は読まない身ながら、この作品が描くフェティシズムと、ユーモアは獣人物だからこそ倒錯的かつエロティックに成立しているのだなぁ、と読後振り返り、しばらくこの作品のことを考え続けてしまった。そして面白かった。

表紙の狼のルー教授と、その背後にいるヤギの大学生グラ。
かたや大学の法学教授とその学生。
しかも教授の側は肉食獣で規律に厳格で気難し屋さん。対して学生の側は図体は大きいけれど、授業初日から遅刻して教授に目をつけられてしまう…という構図で、種族の上でも社会的地位の上でもヒエラルキーの上にいるであろうルー教授。

その彼が、実は被食されたい、という性癖…オートアサシノフィリアというそうですが…を隠して生活してきたのに、なぜか草食動物のグラに齧られて一気に性癖を刺激されたことで、上目遣いに赤面、だらしなく舌を出して悦びを隠せなくなってしまうギャップに自分の中のなんかヤバイ扉が開いちゃいましたよ…。

特殊性癖には、人間という存在の幅を知るという側面があるのかな、と思っていて日頃から興味を持っていまして。オートアサシノフィリアの場合、命の危機を感じる時の緊張感がトキメキと重なり、興奮するようになってしまうのだろうか…一種のマゾというか。登場人物が人間だったら嫌悪感がわきそうなテーマなのに、獣人物だから噛む行為への抵抗感もなく、むしろ教授を見てお腹を空かせてしまうグラのユーモラスさとテンポの良いストーリー運びに面白さを感じて、クククと笑いながら読んでしまう。

途中、ルー教授の性癖の扉を開いた狐の元同級生リザも登場したことで、ルー教授に対してだけなぜか食欲を感じるのだと思っていたグラが、違う感情を感じ出し、立場を逆転させて、ルー教授を二重の意味で食す展開(プラス体格差)に、おおう、BL…と思いました。ある意味、下剋上、年下攻め、というもともと倫理観を刺激する設定の上、その食するときの日頃温厚なグラが出す重厚感のある雄みと、気高いルー教授の食されるのを期待する眼差しがなんともエッrr…

いやはや、種族ごとの特徴をキャラクターの性格に取り入れながら、そこから予想される展開とのギャップに、読んでいるこちらが先生に食われた感覚になりました。はい、最高です✨ケモナーのみならず、特殊性癖好きにおススメです。
*レビューのお陰で出会えました。感謝です🌸
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