BLACK BLOOD【単行本版】
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BLACK BLOOD【単行本版】

琥狗ハヤテ

愛というものを剝き出しで考える

2024年6月21日
心の在りかとは。
脳でも心臓でもなく、脳でもあり心臓でもあるのかも。
腕や足、瞳や指先かも。
視覚や聴覚にも宿るものなのかもしれない。
魂とも言うけれども、魂の在りかさえ見ることも触れることもできないから。

私には50年連れ添ったぬいぐるみがいます。
言葉も話さず視線も合わさないけれども、疲れた時には優しく触れてくれ悲しい時にはそっとそばにいてくれます。
もし彼がサイボーグだとして、動くから、話すから、今以上の近しい関係になるとは思えないのです。
多分今と変わらず大切な存在であるだけでしょう。

このお話はサイボーグと生体の恋。
サイボーグのイーサンは、背骨以外無機質なビジュアル。
でも、それを美しいと感じました。
ミハイルと触れ合っている時には優しさからの温かみや柔らかさまで。
なんと優しいラブストーリーでしょう。
生きている存在の儚さまでが時に強靭な愛に感じます。

クク先生のお話は一味も二味も違う。
コミックでしか味わえない読了感。
感謝。

**248ページ**
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