キスは捜査のあとで【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】
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キスは捜査のあとで【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】

すう

この令和に昭和が抱かれる感がエモい…

ネタバレ
2024年9月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 38歳の昭和生まれの熱血ノンキャリ刑事と、28歳の年下クールITスキル高め刑事という対照的なキャラと、ゆる~い同僚の雰囲気が、好きな刑事ドラマ(時効警察)っぽくて面白そう…と思って読んでみたら、これがめっちゃ良かった!

警察って、色んな一筋縄じゃいかない相手を、うまーく懐に入れたり出したりして丸め込んで捕まえる組織。だから、どうしても古い価値観で生きている人間にもなめられないよう、男社会(ホモソーシャル)な文化に沿った態度を取って、組織の中で生き延びやすいようになりがちだと思うんですよ。
ノンキャリの多古井(受け)は、どノンケ。だから、そんな男社会での価値観に疑問も抱いてこなかったのに、ゲイの塩野(攻め)が顔色一つ変えずに迫ってくるくせに「もしもオレのこと好きならこう来るんじゃないの?」という予想を、ことごとく裏切ってくるので、腹を立てながらも、ときめいたり、助けられたり、ふとした拍子に見せる本音に翻弄されていくんですね。「昭和生まれの昭和の価値観で生きてきた男」が、クールに生きてきた「令和の価値観のゲイ」に、価値観をアップデートされ、自分が愛される側でいるトキメキを教えられ、純情な部分を引き出されていく。その姿に「あぁ、昭和が令和に抱かれちょる…!!!」大げさなようだけど、そんなイメージがわいてきたんです。若い子が、昭和レトロを見直しているように、令和なイメージの塩野が、自分と対照的な、昭和感のある多古野の人情味溢れる人柄に惹かれている。そんな対照的なのに惹かれ合う2人の組合せにエモさを感じました✨

そして、マイお気に入りキャラが、同僚の女子江川。腐女子ってわけでもなく、でも塩野の分かりにくい心情を察してのアシストぶりが、BL作品内の女子の中でもレアな存在感を醸し出しています。

自分をおじさんだと思っている男性が、年下男に翻弄されて、思わぬ可愛らしさを引き出されちゃうのが大好物なら、買って後悔しないかと。おススメ。
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