メルティホワイトアウト[コミックス版]
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メルティホワイトアウト[コミックス版]

鯛野ニッケ

やはりニッケ先生の作品は優しさでできてる

ネタバレ
2024年10月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ あぁ…………。やっぱりニッケ先生の作品は優しさでできている………。
ストーリーも世界観もキャラクターも、温かくて穏やかでたおやかで。切なさや苦しさや遣る瀬なさも、心から良かったと思える優しい形で救済されるところが大好きです。

誰がどう見ても相思相愛の2人なのに、5年間も離れていたのか…と思うと、胸がキュッ……となります。
真樹はどんな思いでひたむきに走り続けたのか。どんな気持ちで辰彦と再会したのか。どんな気持ちで笑っていたのか。。。1度ラストまで読んでからの2周目は、真樹により一層感情移入してしまって、切なさ5割増しで読み進めることになりました。
2人の転機となってしまったあの言葉。辰彦としては、真樹を広い世界で羽ばたかせてあげたいという想いから出た言葉だったのだと思う。でも脚本家で演出家の辰彦にしてはあまりにも言葉足らずで、伝わらない表現だったよな、とも思う。臓腑がタール状に溶けて渦巻いていたんでしょうね。真樹のことが誰よりも大切だったからこそ、そんな不器用なことになってしまったのでしょう。

本当に2人、あの時あのタイミングで再会出来て良かった。いや、再会も2人の着地点も、必然のことだったのかもしれませんね。あれだけ想い合っていたのだから。

辰彦がここからどう走っていくのか、恋人になった2人の関係はどうなっていくのか。読み手の想像に任せるような末広がりな終わり方でしたが、私は「この2人なら間違いなくここから更に高め合い、輝きを増していくんだろうな」と確信しています。

優しく爽やかで清々しい読後感。ニッケ先生、今回も素晴らしい作品をありがとうございました。
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