どちら様が愛を告ぐ
」のレビュー

どちら様が愛を告ぐ

仁嶋中道

言葉にはその奥に人の心が隠れているもの

2024年10月10日
仁嶋先生の作品すべてにおいて言えますが、地に足がついている丁寧な作品。
誠実さと包容力が伝わってきます。

不思議な青年渚が千波のカフェを訪ねるところからお話が始まりますが、しばらく謎が多くてどっち絡み?こっち絡み?とストーリーを先読みしようと下世話な私はぐるぐるしました。
毎度のことですが、まったくもって自分の精神のつたなさに辟易するという。
神聖に感じてしまうほどの作品を穿った想像で汚してはならぬww
これから読まれる方はありのまま正面からじっくり読んでいただきたい。

親しい間柄であろうとも、一つの線を踏み越えたところをさらけ出すというのは並大抵の勇気では越えられない。大切であればあるほど壊せないし、癒されたいし赦されたいのであります。
その思いは、愛の深さに比例しているのかもしれません。
後悔という激しい深淵もまた思いの深さに比例しているのでしょう。
それでも纏っている感情を剥いてしまえば優しい一筋の愛おしさしかないのにね。

そんなことを思い起こさせてくれる作品でした。
登場人物三人の苗字の由縁もああ~と染み渡りました。
読後に清められ感があるのは気のせいなのか?ww

電子特典は2ページですが、嬉しいプレゼント。
本当に渚くんが手つかずだったのは奇跡だよ。

BL読みに留まることなく色々な方の目にとまると嬉しい。

**187ページ**
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