ススム×ミノル【デジタル特装版】
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ススム×ミノル【デジタル特装版】

もちの米

観察しているつもりで観察されてる感が👍

ネタバレ
2024年10月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 漫画界におけるBL界の位置づけを、如実に示しながら、日頃我々読者を、作者さんがどう観察しているかが分かる、メタ要素を絡めた作中劇っぽい構成にニヤケ笑いが止まりませんでした

少年漫画家として戦力外通告を受けた、ノンケのススムがBL作家への転向を勧められる下り、実際にありそう…そして本の雑誌より電子書籍が、さらに癖の合う作家買いする読者が多くて、単行本になった方が売れる…というあるあるが多々あり、やっぱり、商業BLだもんね、マーケティング調査が大事なのね…と作家側の大変さに思いを馳せたりして。
そんな、編集者も、読者も作家も基本女性の、女性による女性のためのジャンルであるBL。そこに、BLなんて知らなかった、ノンケ男子作家を投入するなんて…もうもう、我々モンスターのための生贄じゃないですか、もちの米先生!!そんなススムのサポート役に立候補するのが、バイト先の美人の後輩ミノル。このミノル、実は隠れゲイで、姉がBLソムリエ(笑)。さらに、彼らを見守る同じバイト先の腐女子小春ちゃんが、飼っている心の中の狂犬(笑)…分かる。すっごい分かるよ、日頃出したらアウトだと思っている分、時々、牙をのぞかせてしまうのよね…。いや~、どこかしら登場人物に自分を投影できる作品作りと笑いのセンスが、ホント素晴らしい!
BLって、好みのCPとか、キャラクター、好きなシチュエーション等を発見したときの喜びとその時の萌えの摂取量が他ジャンルと桁違いに大きいと感じているんです。
その意味では、我々というモンスターが作ったBL需要によって生まれたノンケながらもBLにちゃんと向き合うススムが、こっそりススムに思いを寄せていた健気なミノルから萌えを学び、同性のミノルが可愛く見えて恋愛対象として捉えていく過程を見守るのは、まるで生まれたての小鹿の成長を見守っているような感覚で…はぁぁ、尊い…。しかし、そんなススムから見た腐女子の生態・思考の特殊さの描写は、彼らを観察している我々が観察されている?という倒錯した感覚を感じさせ、所々、ドキッとさせられるのです。若干、アホの子か…?と思うところもあるススムに、繊細なミノルが救われるシチュも良く、良ければ続きを…ススムの描いたBLまたは小春ちゃん作の薄い本を番外編で是非…!!と、心の中の狂犬が吠えてます!!
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