美しい彼
」のレビュー

美しい彼

凪良ゆう/葛西リカコ

平良は誰かにとっての光と闇

ネタバレ
2024年11月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ まずは、2度目の大賞受賞、おめでとうございます。正直、一般誌に旅立っていったBL漫画家さんたちのようにもうBLは書いてくださらないのかな…と寂しくなっていた所、書きます→新刊出ます!と情報を見てから何度「エターナル!」と心の中で鼓舞していたことか。
紙の発売日は出てても電子版の発売日が出ないから、指折り数えていた所、シーモアで告知出た時からさらに指折り数えすぎてエンドレスエイトに突入したのでは?と錯覚したほど。そして当日の今日、すべてを放棄して読破して今、書いています。

前作3巻より更に熱量が上がり、セッが無い分、読者にとっても平良にとっても手足肩に纏わりついて離れない「カメラマンとしての未来への重み」に苦悩する様が、それこそ自分のことのように感じられ、いかに自分を見失わず周りに流されず周りに感謝しながら自分の殻を破らなければならないのか、クリエイションという技量を詰め込んだだけでは作ることが出来ない、作られているようで作られていない極みを生み出す難しさ、苦悩、葛藤…そして才能に付随する他人からの激流のような感情。
清居の役者としての、本当の意味でのリスタートが前作だとしたら今作は「職業:カメラマン」としての平良の多大なるデビュー、その第一歩。あまりの熱量に終盤、私も目頭が熱くなりました。

だからこそ、平良がまるで遺言のように撮影した手紙のような作品たちのタイトルが気になってしまった。
ラブレターなのか、叫びなのか、無題なのか。それとも最期なのか。正直、恩田さんの気持ちがとても、とても良くわかる学生時代を過ごした私(かといって他人に作られる自分像・作品に対する乖離については嫌悪してたので一部同意できないが)が思いつくのがありきたりのすぎて涙だが、もし清居や野口さんがタイトルをつけるなら何にするんだろう…やはり該当の章にあった火花なのかな…
というか、野口さん本当に「平良嫌い」ってなに。嫉妬とか諸々とは解ってても、私もショックだった…平良のこと大好きなのに、野口さん、なんて事言うの…大好きだけどさぁ野口さん…!!

清居も良妻賢母過ぎて。いや子ども居ないけど。基本キングだけど時に拳で、時に寄り添って擦り寄ってくれる清居、まじエターナル。

例えこの先、5年待とうがまた新鮮でいて「コレよコレ!」という2人を楽しんで待ちたい。
先生、2人を生かしてくれてありがとう。
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