星の降る教室
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星の降る教室

サノアサヒ

愛が美しい

ネタバレ
2024年12月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 読んで良かった。刺さりまくるし打ちのめされるし胸が締め付けられもするけど、都会の夜空で見る星のように、弱くて強くて綺麗な光を見せてもらいました。

人生ハードモードだった元ホスト志津香さんと、周囲との隔たりに孤独を感じる高校生柊星くんが出会うのは夜。志津香さんは学が無くても人に親切で、貧しい中でも親に感謝できる得難い人。そしてそうせざるを得なかったのだろう優しい人。己も傷付いた過去があるからこそ柊星くんの辛さも分かり、掛ける言葉も心に響く。

いつでも目の前にあるはずの選択肢は世間の空気がそれを選ばせなくて、自分の心も邪魔をする。それでも選択肢が欲しいと一歩を踏み出す姿には勇気をもらうし、しんどかった二人が愛を見つけて本当に良かった。

志津香さんの明るい性格と柊星くんの真っ直ぐな個性、夜間学校の仲間がそれぞれ良い味を出していて、辛い内容ですが楽しく読めます。この星では生きられないとまで言わせた柊星くんの辛さも、直接の描写が無いからかキツ過ぎず、二人の心に集中できたように思います。両親が良い人そうなのも良かった。

そしてかつての志津香を救った薫さん。めちゃくちゃいい男!切なくて愛おしくて、これはもう全員好きになっちゃうやつ。もっと会いたくなる余韻のある人なので、私も彼の物語を是非に所望。

描き下ろしは星の軌道と原子元素によせた柊星くんのお話。彼だからこその言葉で心が満たされます。沁みる。そして美しい。サノアサヒ先生の作品はどれも好き。生きてっていうか、生きようよって言って貰えてる気がする。笑えるし感動するし美しい。おすすめ!
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