このレビューはネタバレを含みます▼
作品紹介で楽器に名前を付けると命が宿るとあって、弦楽器で自分の楽器に名前を付けていた人がいたな!と思い出しました。
この作品は楽器のお話ですが、作者さんの実感に基づいたファンタジーなのだと思います。だからこそ誰にでも感覚的に分かって説得力があり、さらに楽器経験者ならあれこれ想像を膨らませるのが楽しい作品になっているのではないかと思います。
「ギターはボディ、ネック、ヘッドがあって、女の体と一緒だぜ!」みたいなものを昔、音楽雑誌で見たことがありまして、バイオリンはペグのある部分をヘッドとは言わないようですが、ボディ、ネックがあって形が似ているので、そんなところから着想を得たのかなと想像しました。これを名づけが特別な意味を持つ、ということと組み合わせて、楽器から実際に人へと変身してBLな関係になる、というアイディアがすごいと思いました。
皆さんおっしゃるように絵の表現が見事だと思います。
同じバイオリンでも個体差があることや、奏者によっても音に違いがあることを絵で見ることができます。演奏の表現は風景描写的なものに加えてGaが他の楽器と踊ったり、一緒に泳いだり、犬(ビオラ)の上に乗って走っていたりします。奏者がどんな感覚で音を合わせているのかがわかるし、擬人化だからできる表現だと思います。
初めて人に所有されてまっさらピュアなGaと、様々な人に所有されてきたピアノのコスモの違いも興味深かったです。設定を生かしたストーリーも素晴らしいです。
絵もそうですが、もったんの名前の襲名のようなところもまたジョ〇ョっぽいと思いました。もったんの本名は、こんなお菓子があったような…と検索したら似た名前が出てきますね。そのキャラクターの顔が!そうか最初からそうだったのか~となりました。よく見たらもったんの後頭部も面白いことになってました。
私は木管楽器経験者ですが、相棒となる楽器をこんな風に描いた作品に出会えて本当にうれしかったです。