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今月(4月1日~4月30日)

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シーモア島
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投稿レビュー
  • 夢で逢えたら覚悟して

    ドンドン

    心理学を取り入れた夢魔のお話
    ネタバレ
    2025年1月10日
    このレビューはネタバレを含みます▼ フォローしている方のレビューを読んでずっと気になっていた作品です。サクッと読めるのに読み応えがあってとても面白かったです。

    夢魔、夢のお話ということで、フロイトなんですね。作中にも夢分析という言葉が出てきます。抑圧された性的な欲望が夢の中に現れる、ということで、夢魔という題材にぴったりですね。

    フロイトは、何かと性的なものに結びつけるところが嫌厭されがちという面があると思いますが、そこをBLとして笑いに変えているところがすごいと思いました。その笑いが、恋愛しているからそうなっちゃうよね、と共感できるのも、とても良いと思いました。

    そして夢の中の絵が、フロイトと関連の深いシュルレアリスムを連想させます。これがゆる〜い感じで笑ってしまうんですが、なぜゆるいのかしっかり理由もあって…作者さんのセンスに舌を巻きました。
    絵画だと動きませんが、漫画だと動きがあるところもまた面白いです。巨大なたんぽぽや個性あふれる奇妙な生き物たちがなぜそんな姿で出てくるのか想像するのも楽しかったです。

    黒曜の夢の話だけではなく、望のほうも黒曜(石)の助けでトラウマの克服という話も出てきますが、全体としては明るく、かわいく、楽しく読めてよかったです。
  • さよなら、ナナシのバイオリン

    うめーち

    ファンタジーだから描けた楽器と奏者の関係
    ネタバレ
    2024年12月12日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 作品紹介で楽器に名前を付けると命が宿るとあって、弦楽器で自分の楽器に名前を付けていた人がいたな!と思い出しました。

    この作品は楽器のお話ですが、作者さんの実感に基づいたファンタジーなのだと思います。だからこそ誰にでも感覚的に分かって説得力があり、さらに楽器経験者ならあれこれ想像を膨らませるのが楽しい作品になっているのではないかと思います。

    「ギターはボディ、ネック、ヘッドがあって、女の体と一緒だぜ!」みたいなものを昔、音楽雑誌で見たことがありまして、バイオリンはペグのある部分をヘッドとは言わないようですが、ボディ、ネックがあって形が似ているので、そんなところから着想を得たのかなと想像しました。これを名づけが特別な意味を持つ、ということと組み合わせて、楽器から実際に人へと変身してBLな関係になる、というアイディアがすごいと思いました。

    皆さんおっしゃるように絵の表現が見事だと思います。
    同じバイオリンでも個体差があることや、奏者によっても音に違いがあることを絵で見ることができます。演奏の表現は風景描写的なものに加えてGaが他の楽器と踊ったり、一緒に泳いだり、犬(ビオラ)の上に乗って走っていたりします。奏者がどんな感覚で音を合わせているのかがわかるし、擬人化だからできる表現だと思います。

    初めて人に所有されてまっさらピュアなGaと、様々な人に所有されてきたピアノのコスモの違いも興味深かったです。設定を生かしたストーリーも素晴らしいです。

    絵もそうですが、もったんの名前の襲名のようなところもまたジョ〇ョっぽいと思いました。もったんの本名は、こんなお菓子があったような…と検索したら似た名前が出てきますね。そのキャラクターの顔が!そうか最初からそうだったのか~となりました。よく見たらもったんの後頭部も面白いことになってました。

    私は木管楽器経験者ですが、相棒となる楽器をこんな風に描いた作品に出会えて本当にうれしかったです。
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    ウノハナ

    清々しく充実した読後感
    ネタバレ
    2024年7月22日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 歌舞伎町が舞台ということで結構及び腰で読み始めましたが、清々しく充実した読後感で大好きな作品になりました。
    こちらの作品はヒロムの帰る場所がない、居場所(ホーム)がないという思いが、物理的な家を通して描かれていて、ヒロム(と沢木)の心と相関関係があるような感じになっている、という風に読みました。
    借金で家がなかったヒロムが、ルームシェア企画で温かいホームの疑似体験をして、その後住んだ帰って寝るだけの部屋や、昔こんなところに住んでやると思っていた沢木のタワマンを経て最後にボロでも慶太とずっと一緒にいられる温かいホームにたどり着きます。
    同じ構図でセリフが正反対になっていたり、慶太とヒロムが逆になっていたりして、最初は慶太がヒロムに沼落ちだったのに、次第にヒロムが自分に嘘がつけなくなるほど慶太に惹かれていく様子が巧みに表現されていると思いました。セリフも含みが感じられたり、事件が絵で暗示されていたりして、ウノハナさんの作品を読んだ限りでは、もっと直接的というか、明快な表現をされる印象だったので意外な感じがしました。かなり凝っていると思いますが、この作品の雰囲気に合っていると思いました。
    そしてみなさんおっしゃるように二人のキャラクターがとてもよいです。
    慶太のボーイと客の関係の中でしか生きられないと思っているヒロムを理解し、その関係の中でだけ愛を伝え、でもそこから出てきたいとという様子を見せた時はしっかり手を差し伸べるところや、ヒロムが身体一つで生きていることへの労りにグッときました。
    ヒロムのかわいさというのはボーイを始めてからの魅力だと思います。自分は全て失ってからっぽだと言いますが、人間的に成長して得たものもあって、そこで慶太と出会って新しい一歩を踏み出すところに繋がっている、そんな肯定感があるところがよいと思いました。自分の奥底にあった感情にも気づかなかったヒロムが幸せになって本当によかったのです。
    先に単話で読んでましたが、単行本はセリフがちらほら、絵もいくつか変更され、最終話に二人の新しい仕事のシーンが追加されてますね。単話と少し印象が変わりました。単行本は単行本で予想外にいろいろ楽しめました。
  • 30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい

    豊田悠

    アニメから入りましたが原作はやはりよい
    2024年4月2日
    アニメがよかったので漫画の方も読んでみました。アニメのほうは、原作への敬意は感じられるものの、大胆に変更していて驚きました。

    漫画のほうはアニメにはなかったエピソードも多く、8巻の両親への挨拶と10巻の結婚式は胸がいっぱいになりました。

    登場人物が素直で真摯で、忘れかけていたものを思い出させてくれたように思いました。印象に残る言葉やシーンがたくさんあって何度も読み返したくなります。

    海辺や満月、満ちていく途中の13夜ぐらいの月?など詩的というか文学的というか、心情が重ねられたようなシーンもよいです。

    漫画の絵があまり好みでないという意見を見ましたが、個人的には微妙な心情の描き分けがよいと思いました。黒沢と関わることで、最初は少しもっさりしていた安達の顔が、少しずつ自信をつけていったり、藤崎さんの言うところの綺麗になっていったりする様子や、1巻から13巻までの中で1年〜2年くらい?経過しているようですが、主要人物がしっかり年を重ねている顔になっているところもリアルでよいと思います。