ペリリュー ─楽園のゲルニカ─
」のレビュー

ペリリュー ─楽園のゲルニカ─

武田一義/平塚柾緒(太平洋戦争研究会)

人が人であるには

2025年2月20日
ふんわりした優しいタッチの絵。サクサク読める読みやすさ…。そこから一気に引きずり込まれる、戦場のリアル。

壮絶です。
ペリリュー島の圧倒的に不利な戦況下では、上官も下級兵士も善人も悪人も関係なく、全ての命が消えてゆく。

ペリリュー島には当時1万人の兵士が送り込まれ、生き残ったのは34人――。

私はレビューを書くとき2回は読み返すのですが、この作品だけは読み返せなかった。
でも読んで何年も経っているのに、今も彼らの生きざまを思い出す。

人が人として在るためには、その人の心のよりどころとなる、ゆるぎない何かが必要なのかなと。
主人公の田丸は、吉敷がいたから人としていられたのかな……と。
外伝で描かれている主人公のその後の話も重く、深く、切なかった。

いろんなシーンが焼印のように心に焼き付いて、忘れられない作品。
このレビューで400件目。なので自分にとって特別な作品にしました。

2025年12月5日にアニメ映画として劇場公開予定。
映画版にも武田一義先生が脚本等に深くかかわっているらしいです。10巻の大作をどこまで映画として落とし込むのか、かなり悩まれたと記事で読みました。必ず観に行こうと思っています。
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