このレビューはネタバレを含みます▼
ホラーは射程外だけど、サラリーマンの郡山雪と夜景のイントロがどうしても気になって読了。ノンケの攻め、広瀬美空のクズっぷりにイヤイヤこれ、大丈夫かなぁと不安になったのは杞憂でした。(美空は大人の男へ成長しようとしますが、元カノ達といい恋愛が出来なかったのはナゾだなぁ)
郡山雪は8年付き合った恋人に浮気をされて失恋。
なのに、相手を責めたりせずに辛い感情と向き合う姿勢が良かった。彼の人柄が作品全体に溢れているので、読後はほぉーっとします。
追加(2025.7.12)
郡山雪を顧みる。
冒頭の夜景のシーンで指輪を投げようとして投げられない雪の仕草や表情はとても惹きつけられる。そう、悲しみに耐えている。失恋は優しい人ほど傷ぐちを深くしてしまう。本当は泣き喚いて相手を責めればいいのに。好きだからできない。いや、したくないのが本音かもしれない。雪の表情は憂いた時が一番美人だ。美空にはない艶がある。
廣瀬美空を顧みる。
美空は嫉妬するほどの恋をしていなかった。確かに相手の好意は嬉しいし、楽しい。しかし別れがくれば執着せずに次へ切り替えていたはず。それが雪を抱いてから雪の心の中にあるのが自分じゃないとはっきり自覚できたのが、元カレと会った瞬間だった。初めて感じる焦燥。
自覚する前に口にした「彼氏」。
美空が働きに出始めたのは、雪と対等に付き合えるようになりたいからだ。情けない彼氏じゃなくて、雪を笑顔にできる大人の男に成長するために。それこそ愛ってやつでしょう。