カミング・ホーム
」のレビュー

カミング・ホーム

圷見南子

また表紙とタイトルを見てため息でした

ネタバレ
2025年6月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 好きな作者です。ネタバレしてます。
物語は主人公アキレスが生まれた時から戦争をしているどこかの国。冒頭で叔父に想いを告げるシーンの彼は14歳くらい?とドキドキしました(計算が…)読みながら副隊長ビクトリノ(ビッキー)の人生を想像しましたが、亡き弟と同じ名前のアキレスとの出逢いは運命的だなと思い、どことなくビッキーはアキレスの叔父と似てるかなと思うと、彼もだから抱かれながら叔父の名を口にしてしまったのかなと思いました。

ビッキーは娘がいるのに弟、両親の過去にずっと囚われたままだった事が可哀想で。彼がアキレスを庇ったのも、もしかしたら彼は死んだ方が良かったと思っていたのかなと。遺族年金は残した家族に永遠に支払われ生命保険も支払われるのかなと思ったりすると、そんな彼が生きて故郷に帰っていちから仕事を探し家族を養うよりも、その方が良いと思っていたのかな…と思ったり。
アキレスを優しく抱いたのは、弟にできなかった優しく接する事を同じ名のアキレスにしたのかなと思ったら、苦しかっただろうなと。もしビッキーが生きる世界線だったら、アキレスは叔父とは再会しなかったんじゃ?と。彼が亡くなったからアキレスは叔父のいる故郷へ帰ろうと思ったのかなと…。最後アキレスが叔父にビッキーの事を告白しようとしたシーンも良かった。それを止めた叔父も。叔父自身にも何かが、戦場にあったんだろうなと。

そして一番気になっているのが、カシミロ。本当に結婚してたのかな。彼が書いていた手紙、書き出し文しかありませんでしたが、親しい女友達?奥さんに宛てるとしたら、愛する…とかにならないかな?とか思ったり。彼がファウストを想うあまりの仮の指輪だったとしたらとか思いましたが、彼らの最期はなんだかなぁ…辛かった。

死戦でアキレスと戦っていた仲間は大学に行っていないヒラ兵士で、常に最前線に行かされる。アキレスに着任そうそう声を掛けた少佐は大卒だからホワイトカラーで、カスッカス人間なんだろうなと。でも逆らったら軍人としての恩給も無くなるくらいの嫌がらせがあるんだろうなと(勝手な解釈ですが…)
あとがき、作者が途中から映画「ひまわり」を思い出しながらと。ウクライナ。今はもう作中の様な戦い方じゃないんでしょうね。主な違いはドローンなのかなと。平地での生存率は3%〜4%。対象兵士の最期まで記録する安価〜のAI兵器。ほんとに…。
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