このレビューはネタバレを含みます▼
美しい絵から、静かな言葉と行間から、深い孤独と相手を思いやる心がじわじわと滲み出ている。
BL感は、ほんのりと。優しさで孤独が解けていくような、とても心地の良い作品集。
特に表題作は好みの世界観。異形の男と黒い森。彼の庭に生える薬草と書庫にある沢山の本たち。独りで過ごす長い時間が、微笑みの気配で塗り替えられていく。誰かの言葉を見るだけではなく、知りに行くことで自分の正解が見えてくるんですね。兄妹のそばかすも、めちゃくちゃ可愛いかった。
短いながら『stalks』のふたりも印象深い。最後のページに描かれたカンナの種や、言葉の意味を考えながら読み返すと、静かな中に切ない衝動と激しさを感じて、なんとも言えない気持ちになりました。
ページ数に添えられた草花も、ほんとに素敵。レビューに惹かれて購入していた作品です。色々な方のレビューを読んで、より深く作品を読み返せたように思います。本棚の中で随分寝かせて季節が変わってしまいましたが、夏の元気な植物を前にして読むのも良いものでした。