シティ・ライツ・バースデイ【電子限定描き下ろし付き】
本郷地下
このレビューはネタバレを含みます▼
運命だけど結ばれなかった相手、運命じゃないけど恋した相手。「運命の相手と結ばれるだけが幸せじゃない」というオメガバ作品は最近よくある。こちらも多様性の時代。
東馬はまほろの「運命の番」探しを手伝うことで少しでも長く一緒にいたいというのもあったかもしれないけど、運命の相手と再会して幸せになる二人を見ることで過去の兄との出来事を「運命の番は一緒になるのが二人にとっての幸せだから良かったんだ、仕方のないことだったんだ」と自分を納得させようとしていたように見える。
今作では運命の番である蓮とまほろは再会しない。オメガバースで運命以外の相手を選ぶ場合はフェロモンに翻弄される辛さや抗う苦悩が描かれることが多いけど、今作では直接会わないのでフェロモン・本能の問題ではなく人生の選択という普遍的なテーマになっているような気がします。
運命の相手と一緒になる選択をしなかったまほろと運命の番と喧嘩している兄。”運命”の相手が絶対じゃない、”運命”の相手と一緒になったからって無条件に幸せになれるわけじゃなくて普通のカップルと同じように悩みや困難もある。それがわかった時、東馬も呪縛から逃れられたのではないかな。
単なるオメガバースじゃない、人生の物語でした。
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