バイト先の生田くん【デジタル特装版】
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バイト先の生田くん【デジタル特装版】

会川フゥ

想像より深い作品に感じました

ネタバレ
2025年8月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ すごく好きな作品ですがレビューが難しい・・
一言でまとめちゃえばバイト先の小悪魔な生田君に大学生の狛江君がハマっていって2人が恋人になるまでのお話。でもたったそれだけのストーリーの中にリアルな社会を断面から覗いているような深さもあって少し複雑な気持ちになります。

生田君は自己肯定感が低いと言ってしまえばそれまでなのですが、そんな単純じゃないような…それは彼自身が歩んできた背景のせいももちろんあるし、それによって疎外感を感じさせる社会的な構造の問題のようにも感じました。
あの喫茶店は生田君いわく「こっち側」と「あっち側」の緩衝地帯のようなものだったのかもしれない。
生きる世界が違うと感じている周りの人に対してもああなりたい、うらやましいとかはなく、ただ違うから長く関わらない方がいいと判断してしまう。一種の防衛反応なのかな。だから根が深い気がするし生田君がコマを受け入れるのって雲の中に手を突っ込むような、未知の世界に足を踏み入れるような勇気のいることだったんじゃないかと思うのです。

そんな生田君や彼にハマっていく自分自身を客観視して、最終的にありのままを受け入れようとするコマも素敵です。恋に溺れるのではなくしっかり相手と向き合おうとする所がとても恋愛初心者とは思えない。逆に言えばそれだけクールなコマを夢中にさせた生田君は凄い。でも恋って冷静なままではつまらないと思うし、我を忘れるくらい夢中になる時期があってもいいと思うのでこれからどんどん溺れていってほしいなって思いました。その予兆はあるけどね~ムフフ。コマは束縛溺愛攻めの素質あると思うんだ~

そしてみんな気になるミナトくん・・・彼も素敵!生田君はミナトも”あっち側”の人と思ってたけどミナトは生田君を”同じ側”の人と思ってたからこその「いつでも返してくれていいから」なのかな。少なくともただの友達でないことは確かだけど、恋愛感情の有無はよくわからないままなのがいいのかも。コマにしてみればそれでも十分なライバルだね!
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