指先の染み 【電子限定特典付き】
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たうみまゆ

父親のはなった毒

ネタバレ
2025年8月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 若手議員・櫻田門明と私設秘書・九重と門明の弟・明菜が織りなす政治BL。252頁 星☆4.3

名家・櫻田家の嫡男は政治家以外の選択がない。資質と努力で門明は議員のエリートコースに乗っている。九重は門明の大学の先輩で在学中にスカウトされた。議員の三男で表舞台に興味がなかった九重は秘書の道を選ぶ。妾の子・明菜は兄の影になることを誓っていた。

これは議員の息子たちが、政治という毒を飲まされた物語。彼らは武器として情報と言葉を駆使し、日々の心理戦を戦う。政治は派閥の他に外交や歴史まで加味していくと情報過多で思考が翻弄する。点在する伏線が終盤で一気に結ばれる手腕もすばらしく、読み手に筋書きを読ませない構成に唸ってしまう。
複雑な環境の中、門明と明菜は父・史門の死をきっかけにお互いをかけがいのない存在と認めながらすれ違いは深まっていく。九重は大事な者を見守り続けていた。

硬派な内容でBLファンタジーの甘さは少ない。ここはストーリー重視でクライマックスの布石を理解される方へおススメしたい。
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