ノっぴきならぬ
」のレビュー

ノっぴきならぬ

こふで

☆5以上の傑作。全細胞フル稼働

ネタバレ
2025年9月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ あまりの作画の美麗さと2人の感情の動きの隅々までを見逃したくなくて何度も何度も読んでしまう。

寅次と八兵衛に現代風髪の毛をかぶせて脳内シミュレーションしてみたんです。
何を当てはめても美しいことに変わりはないのですが、この2人やはりどうあっても髷が最上級なのです。結い上げられた髷が乱れ、いく筋かしどけなく落ちている姿の艶っぽさの上をいく髪型は見つかりませんでした。
入墨姿の寅次の色男ぶりにうっとりするし、衿元ゆったりとこなれた着流し姿の八兵衛の滲み出る色気にも見悶えます。いと美し・・

1巻での茶室での2人のやりとり、泣く八重辰(寅次だけがずっと八重辰と呼ぶことにも色を感じます)の手を取りながらの寅次の「俺のいとおしい男」のあの一連のシーン、全身の毛穴が開いたかと思いました。はあぁ~と感嘆なのか切ないのかわからない溜息と涙があふれてきて、寅次と同じように八重辰がいとおしくてたまりませんでした。ほんとどこかにこの2人実在しませんかね。

八兵衛のように名のある商人にとって嫁をとって子を為すことはおそらく家にとっても最重要課題だったと思います。
でも男しか愛せない我が身と、ありのまま生きられない現実をわかっていて一切を明かさず寅次の前から消えた八兵衛はどれほど辛かったか・・きっと自分の全てをそこに置いてきたというくらいの想いだっただろうと・・・あ、また涙が・・
そして八兵衛を想いすぎてボロボロになる寅次・・・寅次が諦めないでいてくれて心の底から良かった。

お互いに離れようとしても結局引き合ってしまうこの2人。7年という年月には重みがあります。
その想いも関係ももう避けることも退くこともできないはず。まさにのっぴきならぬ。
これから何が起きてもこのまま死ぬまでひっついていてくれますように!
今秋に3巻発売予定とのこと。うずうずと想いを募らせてお待ちしておりんす。
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