間の楔
」のレビュー

間の楔

吉原理恵子

〜ロイドが愛したらこんなにも優しいのかと

ネタバレ
2025年9月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 旧版の道原先生の表紙に惹かれていたのを思い出すのですが、私は若かったなと。今回お求めやすくなっていたのを見てこれはと。あぁ、と思って云十年経って手にした訳ですが…遅かったなと。塩沢さんのあの銀河に響く様な声はイアソンそのものだなと思ったのに、亡くなられていたとは…。関さんは青年の中に少年の声を残した自分の中では永遠の受け声で。アニメにもなっていたんですね(まさか速水さんまで…)
一巻とその後の不線回収が素晴らしくて、読むのが止まらなかったです。特にイアソンがリキの家を訪ねたシーンは最高で、合間に読んでいたから、あー今イアソン来てるのに…とジタバタで。翌日ガイがリキの首筋のキスマークを見てから言葉ない怒りを溜めていくのが最高でした。

脳以外は人工のイアソンだからか、リキを抱きながら、本人も抱かれているリキと同じ様になるのかと思うのに、ならないんですよね。ずっとリキの反応を観察して、それを脳内で処理し愛おしいと。ナニもそこからコントロールするから…。怒りも嫉妬も、その状況を冷静に脳内処理した後から感じている様で。だからその時の抱き方は長いのかなと。逆に人間のリキは全身で生きてるからか、イアソンが感情的になりそうな、怒りそうな時は察するのが早くて(ほぉ。と、ほぉ…。のイアソン)そんな2人の感情はある時から交差して想い合っていたんだろうけど、読んでる私もペットという言葉からリキはイアソンにとっての特別なペットだと。リキはガイを想っていたと思っていたから、それは家族的でもあったのだと最後の最後に分かって大泣きでした。
そこからまた振り返ると、イアソンの想い方は愛してる、好きだ、などの言葉を言わなくても、ずっとリキを想っていたじゃないかと。何だかんだとリキの事を何よりも1番にするイアソンに、バイオロイドが愛を知ったらこんなにも優しく想うのかと、涙でした。イアソンは、リキを愛していると言ったら笑うか…とラウールに言っていたと思いますが、彼は愛する事は知っていたのにブランディーの矜持からかリキには言わないんですよね(心臓に頬ずりしたいと言う言葉の方がイアソンらしい告白だなと)
あまりにも気になる登場人物が多すぎて。アレクがイアソンを見たら何が見えたんだろうとか。リキの生い立ちとガーディアン時代とか。創造主AIがイアソンを許していた意味とか…いや、本当に壮大でした。
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