魍魎の匣
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魍魎の匣

京極夏彦/志水アキ

匣の中を覗いたが最後…

2025年9月24日
志水アキ先生のコミカライズ版“百鬼夜行シリーズ”、現在出版されている分は全て読破しております。
その中でも取りわけゾッとした物語がまさにこの“魍魎の匣”。私的には最もグロテスクな描写が多いと感じ、当初は最も苦手なエピソードでもありました。

しかしシリーズを何度も読み返しているうち、実はどれより心に焼き付いているのはこの物語かもしれないと思うように。
二人の少女と若き幻想小説家の数奇な運命が交錯する…。戦後間もない昭和の時代と不可思議な事件が見事にマッチした、悍ましくも美しく感じてしまうストーリーです。

物語冒頭、匣の中に入った少女が一言つぶやく「ほぅ」。このシーンが後々トラウマになりかかるくらい印象深かった。
匣の中を覗いてしまったがゆえに、ある者の人生が狂っていく。やがて複数の事柄が絡まり一つになり、恐ろしい事件が浮き彫りになる。そして最後に古本屋兼神主・“京極堂”こと中禅寺秋彦が、その難解な事件を紐解いていきます。

私は原作小説の方は未読なので恐縮なんですが、もはや京極堂といえば志水先生の作画で再生されてしまうほど。メインキャラの榎木津、木場、関口たちも、もう完全に作中のキャラデザで刷り込まれております。

それと本作のゲストキャラのデザインで特にいいな~と思ったのが久保竣公。美青年風ながらどことなく神経質さが漂い、危うげな雰囲気も兼ね備えている。あとあの髪型も昭和のインテリな感じがよく出ていると思いました。
そんな志水先生版・久保のイメージは、若かりし頃の鳥○実さんだそう。わかる…!初見では「誰かに似てるなぁ、誰だっけ??」と思いつつ本編を読んでいた思い出。
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