何でもいいから消えてくれ
」のレビュー

何でもいいから消えてくれ

ひなこ

歪さの奥にある愛が痛い。神作棚行きです

ネタバレ
2025年10月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 洋二はきっと陸のためなら死ねる。
それくらい洋二の人生にとって大切なものは陸だけなんじゃないだろうか・・・違うとは言わせんよ。陸は自分に向けられる執着が紛れもない愛だとだんだん気付いてきたかな・・

あまりにも複雑な洋二の人物像。初めから陸だけのくせになぜ他の人にも手を出すのか?
勝手な想像だけどこれ、愛着障害のある子供が愛情を向けてくれる人にお試し行動するような感覚と同じなのかな?って思いました。陸しかいらないし陸にしか興味もないからこそ、どうすれば陸をつなぎ止め続けられるのか?本当に心から自分を愛してくれるのか?ずっとずっと試してた。裏を返せば心の底から自分だけを愛してほしいんだろうな・・

陸は自分を好きだと言いながらそんな行動をする洋二を当然信じられないし・・・でも放ってもおけない。
そりゃそうなんだよ・・・きっと洋二の声にならない叫びをその裏側に感じ取ってしまっているだろうから。
無意識に毛をむしり取る洋二から陸は何を思っただろうか?自分しか知らない洋二を知ったら、自分にだけ向けられるその執着がどれだけ歪でもだんだん愛おしく思えてくるのはごく自然なことだと思うのです。
お互いに傷を作りまくってきた2人だけどやっと光が見えてきた!
もう試さなくてもいいし、ちゃんと信じてあげていいと思う。

ひなこ先生作品の中で一番大好きな2人です。
何度も何度も1巻から読み直してもう涙があふれてとまりません。本当は次の最終巻が出てからレビューしたかったけど、もうこんなん、こんなん無理!!!こんな素晴らしい続きが読めた嬉しさと2人の関係のフェーズが明らかに上がった感動で書かずにいられなかったです。ひなこ先生が次は最終巻と断言されていたので心してお待ちしております。
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