No.99:人間玩具
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No.99:人間玩具

池玲文

粒ぞろい、文学的な作品集

2025年10月19日
池玲文先生の、少し昔の短編集。
先生といえば立派な「ブツ」という印象があったが、これらの作品は文学的、かつ世界観がどれも素晴らしく、絵の描き込みも素敵で本当に好み。
表題作の「人間玩具」が読んでみたくて購入したが、どの作品も粒ぞろい。

特に「黄金島」に心惹かれた。
まだ自分達が何者かもわかっていない少年2人の、切ない葛藤や恋だけでなく、神の使いと言われる巨大な黒鳥の存在が物語に深みを加えている。
片方の翼を失くした黒鳥の運命は、一体何を表しているんだろう。
余韻が大変素晴らしかった。

他には大好物のホクロまで出てきて、バラエティに富んだ作品の数々に驚かせられるばかり。
全編少年メインで甘酸っぱく胸がキュッとなるが、油断していると色気にやられる。
最後までページをめくる手が止まらなかった。

先生の描くエロもブツもイケオジもおバカも好きだが、またこういった作品も描いて欲しいなぁ。
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