このレビューはネタバレを含みます▼
始末されるヤクザと復讐の右龍をもつ組合員のドラマ 上巻218頁 下巻216頁 星☆4.3
桐井組の組長・清三が亡くなろうとしている。その息子・圭人は次期組長として、若頭の片岡錦司が気に入らない。目障りな人物は退場してもらおうと、旅先での始末を小田島漣に命令する。小田島は片岡に恨みがあった。
ビンデージの車で車中泊をしながら、ひなびた港町で過ごす二人。それは映画のような舞台設定。片岡はチャラく見えて生粋のヤクザ。桐井圭人はサラブレッドやぐざ。小田島は親殺しを背負って社会からはみ出た組合員。上巻はストーリー重視。小田島の右腕には色のない龍がまきついている。7年前に左龍は息絶えていた。オープニングの海鳥の声が終盤でも聞こえてきそうな内容でまとまっている。
そして下巻はエンタメ系の展開になっていて、キャラの深掘りが楽しめる。表情筋が固まっている小田島、人目をひく魅惑の片岡、整った顔立ちと格式をもった桐井が気に入ったら続きもウキウキしながら読める。反社版学園モノの雰囲気が続編への兆しである。
読了して、ずっと気になっている頬の傷。7年前にはなかった。そして上巻で片岡が小田島に「こっちだって有名だろ」のセリフ。有名ってどんな噂なんだ!(確かに服従している相手はいたが)知りたい!その人たちを経由して片岡へたどり着いて、あの表情は一体なんだ!しかもペンダントにしのばせているが左龍とは堪らない。その小田島を理解している片岡が、はぁ憎い。
上下巻ではエピソードがまだ語りきれてない作品。