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今月(4月1日~4月30日)

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シーモア島
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投稿レビュー
  • 血の轍

    押見修造

    寺山修司
    ネタバレ
    2025年2月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 押見修造さんの作品を読んでいると寺山修司さんの作品を思い出します
    母子間の濃密に癒着した感じと時々斑に現れる母親の自分以外の人への執着のなさ自分の思い通りにならないといらないと言わんばかりにサッと手を離す感覚が似ています
    奇しくも早稲田大学文系中退と同じ最終学歴
    拗れに拗れた親子関係が展開されますが晩年寺山修司さんが(私は母に1度も勝つことができなかった)と言う様なことを遺していて血の轍の最終巻を読んで愕然としました
    母に勝てない 怖い
    下衆ですが実際押見さんの親御さんは中退したとはいえトップレベルの私大に入学できて売れっ子漫画家になり妻子を養っている息子みて自分の教育は間違っていなかったと思っているのではと側から見て考えてしまいます
    そう体裁保たれているとが考えてしまった事が恐ろしいと思いながら人は良かった部分だけ口に出して安心したい者なのだと思うのです
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  • 美作くんと迷える子豚

    梅田みそ

    何で
    ネタバレ
    2025年2月24日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 見た目も厳つくて威圧的で顔も好みでは無く言動も輩丸出しでまるで好みでは無い美作くんなのに何故かこの作品が大好きなのは何でだろうと考えていました
    もちろん佐藤くんが物凄く魅力的な事は間違え無いのも含めて作者さん新作を購入して読んで答えが出ました
    美作くんなら新作の受けの母親に(おいババァ痛い若造して綺麗事使って受けを捨てた言い訳してんじゃねぇちゃっかり不倫しながら金持ちロックオンして再婚しやがってこんな可愛い受け捨てた事実は覆らねーぞババァが捨てたんだから俺が幸せにしてやるぜ)位の啖呵を切ってくれそうなところだと思いました
    口開けれほぼ暴言の美作くんですが間違ったことは言わないのでスカッと物語の要をを締めてくれるところが主人公カップルの攻めとしての魅力です
    10の内9悪くても残りの1が9を凌駕することがあります
    逆も然りで10の内9良くても残りの1がどうしても許せなければ魅力が無くなること思い知りました
    美作くんが佐藤くんにメロメロな理由も佐藤くんの言動が美作くんのお母さんにそっくりだからと思って読むと気持ちがほっこりします
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  • 風と木の詩

    竹宮惠子

    姿や形を変え
    2025年2月22日
    今でも姿や形を変え年齢や名前を変え 風と木の詩 は紡がれ続けている様な気がします
    今BLとして長く連載されてとても売れている作品の中にもセルジュとジルベールの関係性を見てとれる作品があったりジルベールのキャラクター設定は創作者にインスパイアされ続けるのだろうと思います
    男女では未熟なまま子供ができてうやむやになってしまう内側の自我の葛藤を少年同士で具現化する手法は圧巻
    セルジュという社会に適合して成長したいという人格と子供の心のままひたすら愛をこうジルベールの人格のせめぎ合いの末に純粋に愛を求めた子供のジルベールが父性を求めながら亡くなる最後はまさに死闘でした
    1人の人間の中に渦巻いて膨張する苦悩をとても明快に表現した作品です
    ジルベールに勝って1人で大人になったセルジュがピアノでの創作が無ければ生きていられないほど負傷を受け全てジルベールに捧げる曲を奏で続ける
    セルジュは勝者では無くジルベールを内包して大人になったと言う事なのかと思うと何が正しいのか混沌とてしまいます
    喪失感の後に浄化された気持ちが訪れる物語り
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  • 囀る鳥は羽ばたかない

    ヨネダコウ

    理想
    ネタバレ
    2025年2月6日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 矢代が浄瑠璃 歌舞伎などの古典芸能で男性が理想的な女性を演じる特徴を持っていて歌舞伎の名場面も漫画で描かれていて感心しました
    百目鬼を反社の世界から足を洗わせたくて銃を突きつけるコマが 愛想づかし と言う歌舞伎の名場面の構図にそっくりです
    女性漫画で女性に矢代の様な全身全霊で相思相愛になった相手に己を捧げてしまう役をつけてしまうと嘘臭くなってしまうのですがそこに葉隠れに代表される武士道を絡めると雨月物語の様な古典文学の薫りもしてきます
    性的加害者側の父親に育てられた百目鬼が不能になり被害者側の矢代に救われて相思相愛になった百目鬼に抱かれた矢代が百目鬼以外の人との性的行為で不能になり自分が被害者だったことを突きつけられる展開もお見事
    典型的な現代劇 母子家庭 ネグレクト を描きながら古典芸能古典文学をはらんで進む物語に感嘆しきり
    同じ時代にはじまって一足お先に完璧な幕をひいた 憂鬱な朝 同様に百目鬼と矢代にも幸せな幕を閉じて欲しいです
    追伸 矢代の名前は最後に明かされるのでしょうか?
  • 残酷な神が支配する

    萩尾望都

    ジェルミの救い
    ネタバレ
    2025年1月5日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 後半の方でやっとジェルミが溺愛していた母親を(あの女が…)と言った時にそれまでの残酷な神=母親の支配から逃れられたと思いカタルシスが凄かったです
    それまでは息の詰まる様な話の展開でした
    何がそんなにも読者の自分を苦しませていたかというと母親が息子が再婚相手から性的暴行を受けているのを知っても別れを再婚相手に告げなかったことです
    父親を子供の時に亡くし母親を支えることがジェルミのアイデンティティになってしまっていたその母親がまさか自分の幸せのためにジェルミを犠牲にしたことを認められなかった
    認めたら自分が崩壊してしまうから
    しかも加害者を殺すために自動車に細工したことで母親も亡くなってしまう
    母親を問いただすこともできないジェルミが後半やっと(あの女が僕を犠牲にした)と認めた時読んでいて救われる気がしました
    いいね
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  • 美剣士

    小野塚カホリ

    互いに
    ネタバレ
    2024年12月30日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 剣の腕を認められ苗字帯刀許された父親の家から武家の大月家の養子になった農民の大月
    生まれた時から十何代も続いた家老家の武士の菊之助
    大月は美しく生粋の武士である菊之助に一目惚れし菊之助は
    武士であるがために文武をがむしゃらに日々研鑽する大月に魅かれていく
    お互いに抗い難い魅力に引き寄せられて妻も娶れない変人になってしまう大月と自分の主君を蔑ろにしてしまう菊之助
    無垢すぎる
    こうしてみると家を継ぎ続けるということは大変な事なんだと思わされました
    美少年の方が酷く痛ましいと最近まで思って憤慨していたのですが
    こちらの方が大鳥家大月家どちらも御取り潰しになって大惨事でした
    こちらはフィクションだからグランドロマンとして読めるのです
    美少年は半分以上私小説の現実なので胸糞悪いことこの上ないですがそれでも漫画家さんの力量にどちらの作品も5点満点評価になりました
    いいね
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  • 美少年

    小野塚カホリ

    私の存在
    2024年12月30日
    この物語の私の存在は戦後の日本に組み込まれたありがちな男で自分は上澄だけバンドやジャズを楽しんで美少年が重くるしくなったら容赦なく切るだけでなく自分の後ろめたさを振り切る様に砂をかけて犯し踏み躙ります
    自分が悪いわけではないお前がオカマだから悪いのだと
    私が踏み躙ったものは美少年だけでは無い
    継がれるはずだった舞踊 何代も続いたお家 美少年の実らない切実な恋の願い 戦前の誠実な懸命な人々
    自分の選んだもの(バンドや音楽関係の就職先など)だけが至高であると言うありもしない矜持を振り翳して自由を謳歌しながら彼女には品や奥ゆかしさを要求し最後まで自分を省みず時代のせいだ仕方ないと流して責任を一切取らず美少年の犠牲はなかった事にしてしまった
    戦後の教育や風潮が産み出した得体の知れない怪物がこの物語の私なのではないかと思うのです
    この得体の知れない戦後の日本を包む不穏な空気が産み出した怪物が本人は自分はごく普通のまともな人間だと思いながら年老いて亡くなるのかと思うと恐ろしくてたまりません
    作者さんの漫画にする能力がすごいです
    男性の私小説を女性の漫画家さんが描いた事で傲慢な性格の男性がもつ自分以外の人間が自分の犠牲になるのはしょうがない事という不遜な感じがより鮮明になって良かったです
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  • 秘めごとを味わって

    梅田みそ

    えっ!
    ネタバレ
    2024年12月28日
    このレビューはネタバレを含みます▼ せっかく綺麗で清潔感のある受けのキャラクターで
    攻めもイケメンスパダリ王子様系かと思っていたのに
    攻めの言動と受けの母親の自己愛性人格障害っぷりに
    下巻ではぁ〜?って気持ちになってしまった
    作者さんの 美作君と迷える子豚 などが大好きで
    今回も購入したのですが攻めの魅力は容姿ではない
    と感じてしまった
    美作君は見た目も厳つく言動も輩丸出しでまったく
    好みではないのに受けの佐藤君との相性が抜群で
    どんどん魅力的になって物語りに引き込まれた
  • 美しい彼

    凪良ゆう/北野仁

    小説の美しい彼が何故美しいか
    ネタバレ
    2024年2月18日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 小説の清居の何処が美しいのか漫画2巻清居が理不尽に階上からトマトジュースをかけられるシーンで漫画という表現方法でたくみに描かれています。小説をコミカライズ化にした幸福な成功例だと思います。漫画家を目指されていた凪良先生がXでこのシーンを感激した様子でピックアップされていました。作画の北野先生が真摯に小説を読みこんだ結果があのシーンの表現に繋がっていると思います。あのシーンを最初漫画で読んだ時清居が冤罪で叩かれて殉教を選ぶ人の様で無言で天を仰ぐ姿に凄みのある美しさを感じました。