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今月(4月1日~4月30日)

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シーモア島
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  • 【分冊版】竜使の花嫁 ~新緑の乙女は聖竜の守護者に愛される~

    モモチップス/カヤ

    切なくてあたたかい
    2024年3月14日
    切なくて、でもあたたかいストーリーが好きです。
    最初はつらい展開が続きますが、主人公の幸せを応援したくなります。
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  • Unnamed Memory

    古宮九時/chibi

    愛とは積み重ねられた時間
    2020年9月15日
    軽快な読み口で語られる、濃厚なハイファンタジー。ラブコメ的な楽しさや冒険譚としてのエンターテンメント性、その向こうに描かれる人間の意思の残酷さと気高さ。
    愛が共に積み重ねた時間に宿るものだとしたら、二人のなかに降り積もった愛はあまりに重い。しかし尊い。この人生が誰のものでもない、自分自身の選び取ったものだと信じられるからこそ、人は懸命に生きることができる。切なさに苛まれると同時に、どんな意思も尊くかけがえがないものだということの本質的な悦びが心を満たす。
  • 本好きの下剋上

    香月美夜/椎名優

    「本」と「家族」への愛に満ちた名作
    2020年9月15日
    圧倒的な筆力と展開で、読者の心を掴んで離さないファンタジー小説。大長編にも関わらず、ページをめくる指が最後まで止まらなかった。タイトル通りに「本」を巡り、ものづくりから始まって、物語はやがて世界の成り立ちにまで迫っていく。全五部のなかで、主人公の状況が次々と移り変わる展開に終始釣り込まれた。作中に込められた「本」への愛、そして「家族」を求める主人公の想いが、文化と人を愛することの根源的なすばらしさを、普遍性をもって伝えてくる。
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  • Babel

    古宮九時/森沢晴行

    言葉を巡る異世界ファンタジー
    2020年9月15日
    こんなファンタジーが読みたかった。
    異世界に迷いこんだ少女と青年のロードファンタジー。未知の異世界を、あるいは関連作『Unnamed Memory』の300年後の世界を、主人公二人と旅をしながら知るのが楽しい。世界の変革への片鱗が、第一章から伏線として織り込まれている。この異世界で主人公が頼れるものは、「話し言葉が通じる」というただ一点のみ。魔法も知識もないなかで、言葉と心を尽くし、帰り道を切り拓こうとしていく姿は応援したくなる。
    そして、言葉こそが「人間」を作るのだと気づかせてくれる。
  • 宝石商リチャード氏の謎鑑定

    辻村七子/雪広うたこ

    人と宝石にまつわる美しい物語
    ネタバレ
    2020年8月20日
    このレビューはネタバレを含みます▼ 本作を一言で言うと、人間関係と宝石にまつわる物語と表現してよいかと思います。

    女スリの娘として生まれた女性、レズビアンのカップル、ブラック企業の食い物にされる先輩、恋愛感情を理解できない女の子、実の父親にカネをせびられる青年、夫の家庭内暴力で死にかけた少女。
    ずっと昔、大切な友人と互いの身の上を打ち明け合った日、「誰でもひとつはそういうものを抱えているよね」と話したことを思い出します。たとえ今、なんでもないような顔をして社会生活を送っていたとしても、壊れそうになったこと、深淵をのぞいた日、世界に自分はひとりぼっちだと思った夜が誰にでもあるんじゃないかと、ときどき思います。

    自分はもうここから二度と抜け出せない、と感じるときもあるかもしれないのですけど、この物語を開くと、なんだか私は不思議と「大丈夫だよ」と言われたような気持ちになるのです。
    世界にはまったく違う場所、まったく違う人、まだ私の前に開けていない世界があるのかもしれない。私の中の醜い感情も、人に手渡せない思い出も、ちゃんとどこかに置き場所があるのかもしれない。

    こんなに幸せでいいのかな、と思います。
  • “文学少女”見習い

    野村美月/竹岡美穂

    失恋から始まる、片思いの1年間
    2018年6月14日
    “文学少女”シリーズ完結後の外伝作品。私は“文学少女”シリーズの愛読者だったため、その後の作品世界に触れることができたのは大変嬉しかったです。
    本編ほど個々のエピソードに構成に厚みはないものの、本作にはまた別の魅力があると思います。

    まず新主人公の菜乃は、登場したそのときから失恋を余儀なくされた少女です。
    彼女は自分の恋に向かってまっすぐに、本当に頑張りますが、その想いが叶うことはありません。
    彼女が彼と過ごした1年間、彼女が全身全霊で恋をした1年間にどれだけの意味があったのか、それをどれだけ彼女が価値あるものに成し得たか……。

    大切な人との別れを予感したとき、実際に道が分かれたとき、私は何度もこの作品のラストシーンを繰り返し読んだものでした。
    誰かを好きになったことや、大切な人と過ごした日々がどんなにかけがえないものであるか。
    そしてそれを失った新しい世界に踏み出していく勇気を与えてもらいました。

    “文学少女”シリーズと共に、私にとって大切な作品です。
  • 合理的な婚活

    横嶋じゃのめ

    ユニークなパートナー探しの実例
    2018年6月10日
    「結婚」に対する価値観が多様化した現代において、ユニークな視点でパートナーを探す作者の活動を記録したエッセイです。

    自身の活動や結婚、家庭などに対する考え方を赤裸々にユーモアを交えて表現していて、テンポよく軽い気持ちで読むこととができます。そして、一口に「結婚」や「パートナー探し」と言っても、人の数だけ様々な形があり、一人ひとりの人生に正解はないということを実感させてくれるような面白みがあると思います。

    「私の結婚観はおかしいのかも?」「私とパートナーになる人なんて世の中にいるのか」といった不安を抱える人にとっては、「こんな人もいる」というひとつの提案になり得る本かもしれません。
  • 文学少女

    野村美月/竹岡美穂

    他人とうまくいかない少年少女のための青春
    2018年5月27日
    主人公は、好きな女の子を目の前で失うという痛ましい経験をした少年です。
    それまでの自分の世界が全て崩れ去るような想いをした彼は、それ以来、人との関係の構築を避けています。
    しかしあるとき、そんな彼の前にとある“文学少女”が現れます。彼女は、人間関係の複雑にもつれた感情や意思を物語のように読み解きながら、主人公ひとりでは見えない世界の扉を開いてくれるのです。

    友達とうまくいかなかったり、好きな人と傷つけあったり、家族に見捨てられたり、信じた人に裏切られたり、大切な人を失ったり……それでも私たちは生きていかなくてはならない。
    そんなときにページをめくると、苦悩を感じて生きているのは自分だけではないと、そっと勇気づけてくれるような優しさのある青春小説だと思います。

    一方で、作家の孤独や、作品が他人を傷つけることの業にも踏み込んだ作品でもあります。
    自分が描くことで誰かが傷つくことに苦悩したことのある人間なら、主人公の苦悩に共感するところがあるかもしれません。
    それでも尚、この作品はそういった愛憎の全てを含んだうえで、物語を生み出すことを信頼を込めて肯定しています。
    その信頼は、読むたび私の心をあたため、小さくとも確かな灯を胸に抱かせてくれます。