このレビューはネタバレを含みます▼
アニメが切っ掛けで一気読みをしました。
内容はなかなか難しい言い回しなども多く、読むのに少し苦労しましたが、そんなもの屁でもないくらい読んで良かったと思える作品でした。
この物語は全巻通してバトンリレーをしているのです。それは石箱に詰められた知識であったり、想いであったり形を変えますが、確かに「感動」という名前を持って人々の手から手へと繋がっていきます。最終的に何も成せなかったとしても、そこに足掻いた誰かがいたという事実は残ります。「不正解は無意味ではない」のです。
なによりも知識を追い求めて、今まで世界になかった新しい知に手を伸ばす人々のなんと美しいことか!自分のために、誰かのために少しでもより良い方へ進もうとする登場人物達は皆いきいきとしていて輝いていました。
この物語は天動説VS地動説のような構図を取っており、終始天動説を支持する方が敵のように描かれますが、決して宗教が悪とされるわけではなく、神を信じる人間の弱さ、強さ、気高さが描かれているのがこの作品の素晴らしいところだと思います。神を信じることは悪ではない。自分と意見が違うからといって悪ではないのだと叫んでいるようでした。
読んだあとに大きな溜め息をついてしまうような、壮大でどうしようもなく切実な想いが込められた良い作品でした。出会えて良かったです。